「ギャルリー・サン・チュベール」(ベルギー:ブリュッセル)
実業家「稲畑二郎」が大正11年に建築したもので、「木子七郎」が設計し、清水組(清水建設)が施工を行っています。
その後、「稲畑氏」の所有から「宮地汽船迎賓館」を経て、さらに昭和40年頃に「岡本ガーデン」という名で分譲地化する計画が進んでいた時に、旧屋敷地の中枢であった「洋館」部分がかろうじて存続されたといいます。
木造・天然スレート葺、玄関付きの洋館で、保存状態が良く、主体部に大きな改造は認められないそうです。
室内の細部意匠、鱗状の「下見板」壁による外壁と複雑な屋根を組み合わせた印象深い外部意匠、直線材と荒々しい木材加工を見せた玄関の力強い造形意匠、トラス構造を熟知した洋風小屋組など、かつての邸宅計画を偲ぶ極めて貴重な歴史的・文化的資産といわれます。
「木子七郎」は、大阪を拠点に多彩な設計を手がけ、「久松定謨伯爵別邸(現・萬翠荘:重要文化財)」、「松山大学温山記念会館(旧・新田利國邸:登録有形文化財)」、「愛媛県庁舎」などを設計しています。
(讀賣新聞16.06.17抜粋)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所