オルネラ・ヴァノー二「逢いびき」
「東北大学」と「名古屋大学」は7月17日、量子力学の基本原理の1つである「測定誤差と擾乱(じょうらん)に関する不確定性関係」として知られる「ハイゼンベルクの関係式」は破れ、「小澤正直教授」が発見した新しい関係式が成立していることを、光を用いた実験で明瞭に検証することに成功したと発表しました。
「東北大」電気通信研究所の「枝松圭一教授」、「名大大学院」情報科学研究科の「小澤教授」らの研究チームによる成果です。
研究の詳細な内容は、英国時間7月17日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載されています。
「原子」の中の「電子」などの振る舞いを説明する「量子力学」の根本にあるのが今から約80年前に提唱された「ハイゼンベルクの不確定性原理」です。しかし、極微の世界はいまだ完全には解明されず、研究の進展によって、不動と思われていた「不確定性原理」にも揺らぎが見え始めました。「東北大学」の「小澤正直教授」によって新たな「不確定性原理」の式が示され、見直しは不可避の情勢です。
「不確定性原理」とは次の不等式で表されています。位置の不確定さの幅をΔq、運動量の不確定さの幅をΔpとすれば、ΔqΔp≧h/4πとなります。πは円周率、hは量子の世界の基本定数「プランク定数」です。
この不等式は大学の物理学の教科書の冒頭にもあり、「量子力学」の基礎として位置づけられています。式は非常に簡潔ですが、意味するところは実は非常に複雑で奥が深いもののようです。
式の形はまったく同じだが、左辺に置かれている位置と運動量の不確定さの幅ΔqとΔpには2通りの物理的解釈があるといいます。
1つは量子が持つ基本的性質から導かれるΔqとΔp。電子などの位置は波動関数、つまり確率で表現されるとういことです。確率でしか表現できないということは、一点に静止し続けることは不可能であり、常に揺らいでいることを意味し、これを「量子揺らぎ」といいます。量子揺らぎの幅は、統計学的には「標準偏差」で定義され、標準偏差はσ(シグマ)と表されるので位置の量子揺らぎをσq,運動量の量子揺らぎをσpとすればσqσp≧h/4πになります。
もう1つは観測にからむ不等式です。位置を観測する場合、その測定誤差はε(イプシロン)とよく表記されるので、Δqはεqと表されます。一方、位置測定による運動量の乱れによる変化量はη(エータ)と表記されるので、Δpをηpと書かれます。不等式はεqηp≧h/4πと表されます。この「不等式」が破られているケースが見つかっていますが、「小澤教授」が普遍的な測定の数学から導き出した新しい「不等式」はこうしたケースでも成り立ち、物理的解釈を与えているといいます。
《讀賣新聞13.07.18》
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