「大阪ハリストス正教会」:木造ビザンチン様式
「住友ビル」(三井住友銀行大阪本店)は、住友家十五代当主の「住友吉左衞門友純」が「住友本社」内に独自の設計事務所を組織し(後の「日建設計」となる組織)、「野口孫市」(着工前に死去)「日高胖」「長谷部鋭吉」「竹腰健造」をはじめとする建築家を集め、5年以上の歳月を費やして完成した建築物です。
建築途中に「関東大震災」が発生し、当初7階建てであった計画は縮小されました。
大規模な改修工事にあたって、建て替え案も浮上していましたが、歴史的な価値が高い建物を守るべきだと判断し、築90年近くになる「住友ビル」を建て替えず、保存することを決めたということです。
外観はそのままにして、内側に「耐震板」を設けるなどで耐震性向上を図るようです。
地上6階、地下1階、延べ床面積約3万4000平方メートルで、重厚感にあふれ、「住友財閥」の本拠地として、当時の建築技術の粋を集め、1926年(大正15年)に完成し、大阪市民には「住友ビルディング」として親しまれてきました。
クリーム色の外壁は、美しく仕上げるため、古墳時代の石棺にも使われた兵庫県西部産の「竜山石」を粉砕してから張りつけています。現在では高価すぎて再現できない工法といわれています。店内には、精巧な彫刻が施された「ギリシャ建築様式」の12mの柱が立ちます。
耐震性の向上やスペースの有効利用などを図るため、5年ほど前から、約50年ぶりとなる大規模な改修工事の検討が始まり、建て替える案や、東京・銀座の「歌舞伎座」のように後方に高層ビルを建てる案なども議論されましたが、歴史的価値の高い建築物をそのまま残すべきだという意見が多かったといいます。
《讀賣新聞13.05.25夕刊》
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所