【実績】スーパーマーケットの現場で利益を最大化するアプローチ  商品ライフサイクルの4段階を徹底して活かせ!

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの販売戦略

スーパーマーケットでは、数千・数万におよぶ商品が毎日売場に並びます。それぞれの商品は「導入期→成長期→成熟期→衰退期」と、時間の経過とともに変化していくライフサイクルを持っており、その特性を理解し、戦略的に扱うことで粗利益と売上の最大化を図ることができます。
「最初はよく売れていたのに、最近あんまり動かなくなったな……」
そんな商品が必ず出てきます。

特に新商品は、最初はお客様の目に留まって買われていくけれど、
1ヶ月、2ヶ月と経つうちに、売れ行きが落ちていく。
場合によっては、棚の奥に追いやられ、忘れ去られてしまうこともあります。

そして、多くの場合、売上が急に伸びた(成長する)商品は、急に落ちる(衰退する)という特徴を持っています。
導入期、成長期、成熟期、そして衰退期。

この4つの段階を見極め、タイミングに応じたマーケティング対応ができるようになると、
① 売上を最大化できる
② 廃棄や在庫ロスを減らせる
③ 売場に戦略が生まれる
という、店舗運営において大きな成果につなげることが出来ます。

今回はこの「商品ライフサイクル」の基本と、スーパーマーケットの売場で今すぐ実践できる使い方について、各段階の特徴と現場での活用方法を解説します。

商品を見る目が変われば、売場の未来が変わる

そんな実感を、あなたにもぜひ味わってほしいと思います。

以下に各ステージの特徴とスーパーマーケットでの具体的な活用方法を解説します。

① 導入期:販売開始直後 ― 認知獲得と試食訴求がカギ

◆導入期とは?
新商品が登場した直後の段階です。お客様はその商品をまだ知らず、手に取ってもらうには「気づかせる工夫」が必要です。ここで失敗すると、良い商品でも埋もれてしまいます。

◆特徴
•売上はまだ小さい
•お客様にとって未知の商品
•試してもらうことで購買につながる

◆売上を最大化させるための活用ポイント
•試食販売やPOPでの強い訴求が重要。「これ食べてみてください!」という実演・接客でのアプローチが効果的。
•SNSやLINE公式での「新商品情報」発信を強化。口コミが起きやすいように写真映えする売場演出も有効。
•セルフでの購買は起きづらいため、「推奨販売」やスタッフからの声かけが鍵。

② 成長期:需要が拡大 ― 販促・展開強化で売上拡大を図る

◆成長期とは?
お客様の間で徐々に人気が広まり、売上が増えていく時期です。リピーターがつき、競合商品も登場してくるため、積極的な展開が求められます。

◆特徴
•売上が急激に伸び始める
•競合他社も類似商品を展開し始める
•陳列の広がりと品切れ対応が重要

◆売上を最大化させるための活用ポイント
•エンド展開・多面陳列など目立つ場所で売場を広げる
•クロスマーチャンダイジング(関連商品との併売)で売上アップ
例:ドレッシングならサラダ野菜の近くに置く
•チラシ・販促企画に積極的に掲載
•売れ筋商品としての仕入れ強化と欠品防止を徹底

③ 成熟期:売上安定期 ― 粗利最大化と定番化を狙う

◆成熟期とは?
売上が安定し、お客様にとって「いつもの商品」になる段階です。ただし、成長は止まり、差別化や利益の確保が課題になります。

◆特徴
•売上が安定するが、伸びは鈍化
•同種商品の競争が激化する可能性あり
•利益確保の工夫が必要になる

◆売上を最大化させるための活用ポイント
•粗利率の見直しやPB(プライベートブランド)との比較展開で利益確保を目指す。
•POSデータ分析で「販売時間帯」「併買率」などを見て、陳列位置など販売方法の見直しが有効。
•利益が出る限りは“売場に残す戦略”が正解。定番候補として扱う。
•季節性や飽きへの対応として、販促ローテーションを実施

④ 衰退期:需要減少 ― 在庫調整と終売タイミングが重要

◆衰退期とは?
お客様の興味が薄れ、売上が下がっていく時期です。この段階では、「売り続けるよりも撤退の判断」が利益を守るうえで重要になります。

◆特徴
•売上が徐々に減少
•消費者の関心が薄れ・飽き、季節外れ
•廃棄リスクが高まる、棚効率の悪化

◆売上を最大化させるための活用ポイント
•在庫縮小、棚縮小を迅速に行う
•「最終入荷」「今だけお買得!」など終売販促で売り切る
•在庫過多を防ぐため、発注数量の見直しとタイミング調整を徹底
•次の商品導入の準備(売場スペース確保)を行う

パート社員こそ「ライフサイクル感覚」を持つと強い

商品ライフサイクルは、バイヤーや店長だけが意識するものではありません。
売場に立つすべてのスタッフが、商品を観察し、「この商品、最近売れ行き落ちてきたな・・・」「今が推し時かも!・・・」という“気づき”を持つことが大切です。
そして、家庭で料理を作る(使う)パート社員の方々は、売場での「なぜ」の気付きが沢山あるはずです。
パート社員がライフサイクルを理解することで、アイデア出しで、売場づくりにも大いに力を発揮してくれるでしょう。

ライフサイクルの感覚を持つことで、
•在庫の管理精度が上がる
•売場づくりが効率的に行えるようになる
•自分の売場で成果を出せる-意識(意欲)が高まる
という大きなメリットが得られます。
ライフサイクルは「商品を売る」ための基本であり、「売場を見る力」「稼ぐ力」を養う最高の実践教材でもあります。
「商品は生きもの」――。
それぞれのライフステージに合った対応で、売場をもっと強く、もっと楽しくしていきましょう。

「商品寿命を見抜く目」を現場に根付かせる

スーパーマーケットの売場は“戦略なくして利益なし”です。
商品ライフサイクルを日々の売場管理に取り入れることで、以下のような成果が期待できます。
•粗利益率の改善
•売れ筋商品の強化と死に筋商品の早期撤去
•売場回転率の向上
•バイヤーと売場スタッフの共通言語づくり

ライフサイクル管理は、決して理論だけではなく、現場の「見る力」と「判断力」を磨く実践スキルです。毎日の売場づくりの中で、「今この商品はどの段階か?」を意識するだけで、利益構造は大きく変わっていきます。

あなたの売場でも、ぜひこの考え方を取り入れて、取り組んでみてください。
多くの発見が有り、多くの成果を得られるはずです。


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新谷千里
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新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングとオペレーション改善とコスト削減。他では教えてくれない理論と実践で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

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