『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
「うちには出来る社員がいない・・・」
時々、スーパーマーケットの社長や幹部が口にするこの言葉。
それは、本当でしょうか?
スーパー経営において、業績の低迷や低収益に悩む店舗の共通点の一つとして挙げられるのが「社員の教育不足」です。
今回は、なぜ社員教育が重要なのか、そしてそれがどのように業績に影響を与えるのかを解説し、改善のための具体的な解決法をご紹介します。
低収益スーパーの共通点
低収益スーパーの全てではありませんが、概ね以下のような共通点が見られます。
①従業員のモチベーションの低下と接客対応の質の低さ
基本的な接客応対の知識を学んでいなかったり、社員がやる気を失っていたりすると、接客態度や仕事の質が下がり、顧客満足度が低下します。
②現場の対応力不足
臨機応変な対応ができない社員が多いと、クレーム対応や突発的に起こった問題に対する解決が遅れます。
③標準化された業務プロセスの欠如
業務や作業の遂行が属人的になり、担当者が変わると仕事の質と量、そして成果に大きなばらつきが出ます。
④商品知識の不足
お客様の質問に答えられない、商品の魅力を十分に伝えられないというケースが多発します。
■社員教育がもたらす効果
社員教育を実施することで、次のような効果が期待できます。
①顧客満足度の向上
教育を受けた社員は、接客や商品の知識に自信を持ち、より質の高いサービスを提供できます。これにより、顧客満足度が向上し、リピーターも増えることに繋がります。
②業務効率の改善
標準化された業務プロセスを教育・訓練することで、仕事のムラが減り、作業効率が確実に向上します。
人件費アップや人手不足の重要課題に対する改善策として、大きな効果が期待できます。
③チームワークの向上
教育を通じて社員間の連携が深まり、チーム全体で目標達成を目指す文化が生まれ、生産性アップに繋がります。
④店舗の収益力アップ
商品知識や販売スキルが向上すれば、付加価値の高い商品やサービスの提供が可能となり、一品単価を押し上げることや、もう一品の購入に繋がり、顧客単価が上がり、収益改善につながります。
実践すべき社員教育の具体例
では、実際にどのような社員教育を行えばよいのでしょうか?
1. 定期的な研修の実施
不足している商品知識や作業スキル、接客スキルの向上のための研修を月1回以上実施する。
また、実践力を確実に上げるために、店舗内で模擬的な接客トレーニング(ロールプレイング)を行う。
2. リーダー育成プログラム
現場をまとめるリーダー候補を対象に、マネジメントスキルや問題解決力を養成するプログラムを設ける。
3. Eラーニングの導入
忙しい店舗でも受講可能なオンライン学習ツールを導入し、個々のペースで学べる環境を整える。
4. 社内での成功事例の共有
他の店舗で成功した事例(販促施策、売場づくり、効率作業、サービスなど)を共有し、全店で取り入れる。
また、標準化のために、社内でスーパーバイザーからの店舗指導や改善プロジェクトの立ち上げ、評価制度(人事考課)への反映などの仕組みをつくることも重要です。
教育は、最大最善の投資
業績低迷や低収益のスーパーに共通する課題の一つが、社員教育の不足です。
部下の能力の低さを指摘する経営者の方もいらっしゃいますが、適切な教育を施していない場合が少なくないように思います
適切な教育(訓練)を行うことで、実力をつける人が殆どです。中には、こちらが期待した以上の成長をみせて、業績を大きく改善した人も少なくありません。
教育によって、業績改善の大きな一歩を踏み出すことは間違いなく可能です。
今すぐ自店舗の現状を見直し、社員教育の計画を立ててみてはいかがでしょうか?
社員が成長すれば、店舗全体が成長します。その結果、顧客満足度の向上、収益改善といった好循環が生まれます。
教育は、企業にとって最大最善の戦略投資です。
未来の成長のためには、けっして怠ってはいけません。
2025年がスタートし、新年度の予算を立てる時期にも差し掛かっている会社も多いと思います。
あなたの会社では、戦略的な教育計画(予算)を立てているでしょうか?
それとも、相変わらず今までのやり方を続けるでしょう?