『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
東大阪にオーケーが出店しました。
迎え撃つ地元のスーパーにとって、その低価格戦略は脅威と言えるでしょう。
しかし、迎え撃つ既存店が考えられる戦略は、価格だけではありません。
価格以外の何か・・・。
それは、「顧客・体験価値」にフォーカスすることを考えてみましょう。
あなたの会社は、顧客体験価値ということを考えたことはあるでしょうか?
「お客様満足」とは言っているけれど、本当にお客のことを正しく理解しているでしょうか?
競争が厳しい・・・・。また、これからそれが更に厳しさを増す。
売上は伸び悩み、利益が確実に下降曲線を描く。
その時、目先の売上を追うという単純な行動ではなく、商売の理念の原点に戻って、経営戦略を練り直す必要があります。
そのためには、顧客目線に立って、「止めること」、「やるべきこと」を明確にして、着実に行動に移すことが重要です。
今回は、その「やるべきこと」に焦点を絞って、お金をあまり使わなくても、簡単に出来る顧客体験価値・向上策について解説します。
1. 買い場環境の改善
•快適なレイアウト設計
具体例:通路幅を広げ、ベビーカーや車椅子でも移動しやすい環境を整えます。
•照明と音楽の工夫
具体例:明るく温かみのある照明や内装、心地よいBGMを流すことで、リラックスでき
る買い物空間を提供します。
•清潔感の維持
具体例:定期的な清掃と消毒を徹底し、衛生的で安心できる店内環境を保ちます。
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2. スタッフサービスの向上
•接客スキルの研修
具体例:スタッフに定期的な接客研修を実施し、笑顔で親切な対応を促進します。
特に、ロールプレイングで実践を想定して訓練を行うことで、とっさの対応力が
アップすることが期待できます。
•専門知識の共有
具体例:商品や食材に関する知識をスタッフが共有し、顧客からの質問に的確に答えられる
ようにします。
また、POPやデジタルサイネージなどを使って、価値情報をお知らせします。
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3. 商品の品質向上と多様なニーズ対応
•新鮮な商品の提供
具体例:地元農家や漁師と契約して直送品を取り扱い、鮮度の高い商品を日々提供します。
•多様なニーズへの対応
具体例:オーガニック食品やアレルギー対応商品、ヘルシー志向の商品など、健康に気遣う
顧客ニーズに対して品揃えを実現します。
•プライベートブランドの展開
具体例:高品質で低価格な自社ブランド商品を開発し、他店との差別化を実現します。
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4. 顧客参加型イベントとプロモーションの実施
•料理教室や試食会の開催
具体例:店内で旬の食材を使った料理教室や新商品の試食イベントを開催し、顧客との交流
を深めます。
•ポイントカードや会員特典の強化
具体例:ポイント還元率をアップしたり、会員限定セールを実施し、リピーターを増やし
ます。
•季節ごとのフェア開催
具体例:季節に合わせた特別セールやフェアを行い、来店のきっかけを増やします。
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5. 情報提供とコミュニケーションの強化
•レシピ提案と食材情報の発信
具体例:店内やウェブサイトで簡単に作れるレシピを紹介し、購入意欲を高めます。
•SNSの活用
具体例:InstagramやFacebookで新商品情報やセール情報を発信し、顧客とのコミュニケー
ションの機会を増やします。
•顧客の声の収集
具体例:アンケートやレビューを通じて顧客の意見を収集し、サービス改善に活かします。
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6. 安全・安心の提供と信頼性アップ
•防災対策の強化
具体例:非常時の避難経路を明示し、スタッフに防災訓練を定期的に実施。地域の防災拠点
としての役割も果たします。
•品質管理の徹底
具体例:賞味期限や品質チェックを厳格に行い、見切りのタイミングを早めたりして、信頼性
の高い商品を提供します。
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7. 地域社会との絆づくり
•地元イベントへの参加・協賛
具体例:地域のお祭りやイベントに協賛し、地域密着型のスーパーとしてのコミュニティー
との関係性を深めます。
•地産地消の推進
具体例:地元生産者のコーナーを設けたり、店頭即売会などを実施するなど、地域経済の
活性化に貢献します。
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これらの戦略は大きな投資を必要とせず、現場の工夫やスタッフの意識改革(やる気)で、幾らでも実行可能です。
顧客の視点に立った思考で、現場の改善を続けることで、顧客満足度を高め、従業員とお客様の絆を高めることで、お客から顧客、贔屓客へというように、お店のファンを増やすことに繋がります。
これらの行動の積み重ねが顧客体験価値を高めて、その結果として、競合他社との差別化を図ることが可能となります。
今一度、お店を観察して、「止めるべきこと」を見つけて時間を作り、その分「やるべきこと」の時間を増やしていきましょう。