生産性向上で営業利益2倍を実現する‼2018年度計画の立て方【商人舎magazine2月号】原稿
昨年、6ヶ月ほどで営業利益を大幅に伸ばしてくれた、私のクライアントの中小のスーパーマーケット3社の事例を紹介します。
順調に業績を伸ばす大手スーパーマーケット企業がある反面、
「売上が低迷している」
「思うように営業利益が上がらない」
「営業赤字が続いている」
というように、業績低迷で悩んでいるスーパーマーケット企業が数多くあります。
今回紹介する3社は、何れも後者のパターンでした。
目次
商圏人口が確実に減る中、大手の競合店の進出は止まらない。
そして、これからも、「これでもか・・・」と思うほど、その勢いは収まることはないでしょう。
考えられる戦術を使って売上を取りに行っても、一時的に売上が上がるだけ・・・。
戦術の繰り返しのその先に、「会社の業績を向上させるための答えはない」というのが現実ではないでしょうか・・・。
■赤字続きの会社が、半年で1996万円の増益、完全・黒字化
一向に改善の兆しを見せない連続赤字続きのスーパーマーケット(地方で3店舗展開)が、少しやり方を変えたことによって、半年で前年対比1996万円の増益を達成し、ついに完全な黒字化を果たしました。
この企業は、競合店の進出と過疎化により、毎年売上の低下が続き、粗利益率も低下、営業利益ベースでは、ここ数年赤字の幅も大きくなっていました。
この驚異的な成果の背景には、今まで方向性を見いだせないでいた現場の従業員が、改善方法のノウハウを知り、在庫削減や欠品削減など、少しずつ今までのやり方を変えていったことにあります。
そして、こちら都合になっていた日々の行動から、「顧客の立場で考え行動する」ということを実践したからです。
ちなみに、「商品開発を積極的にやった」とか「売場を大幅に変えた」とかいう様なことは一切していません。
ただ単に、今まで当たり前にやっていたことを変えただけなのです。
そして、従業員たちは、作業や売場づくりなど、基本原則の考え方やノウハウを知ったことで意識が変わり、現場のムダを無くし作業も楽に遂行できるようになっています。
「経営陣のリーダーシップによって、組織全体が一丸となって挑戦し、成功を収めた」というような、高度な経営管理レベルにはまだ到達していません。まだまだ少し先のことです。
今まで業績不振の一番の課題は、この経営陣のリーダーシップにあるとも言えます。
■半期の赤字977万円を、半年で黒字に改善
改善活動を実施する前は、半期で977万円の赤字を計上していたスーパーマーケット(地方の小型スーパー3店舗)が、その後、わずか半年で黒字化を果たしました。
この大きな転換をもたらした要因の一つに、目標設定があります。
行け行けドンドンのディスカウントといえばかっこ良いのですが、単なる安売り屋のスーパーです。
長年、売上だけが目標となっていて、粗利益率が低く、競合店が増えた影響で、顧客からの支持が低下し、客数が減り続け、営業利益が大幅に低下し、ここ数年は赤字経営が続いていました。
特に、ここ1、2年は、単月での赤字額も大きくなって危機的状況になっていました。
まずは、「粗利益率をアップさせる」ことに目標設定をしてもらい、そのための基本ノウハウを伝え実行してもらいました。
それから3ヶ月もすると、生鮮部門の粗利益率が確実にアップしていきました。部門によっては、業界の平均値を超えています。
単なる安売りで「目先の売上は追わない」ということを伝えて実行してもらいましたが、売上は低下することもなく、今までの推移となにも変わりませんでした。
そして、売場づくりのために必要な什器や設備を導入するために、
・数か月間の成果報告(改善結果)書
・今後の販売(改善)計画(予算)書
を作成し、銀行に提出して数千万円の融資を獲得しました。
今後計画していることは、明確なターゲットの設定(ターゲティング)とポジショニングです。
品揃えの改善と陳列演出、効果的な販売促進策の展開を行っていきます。
業績が低迷しているグロサリー部門は、設定したターゲットに向けて、商品ラインナップの見直しを大幅に行い、販売プロモーションの強化を徹底して、売上アップと粗利益の大幅改善を計画し実行していきます。
基本的には、低価格の打ち出しを行いながら、価格以外の価値提案を行うための新規商品の導入と売場展開を実施していきます。
新規顧客の獲得と既存顧客の購買意欲を高め、客単価を高めて売上を拡大します。
さらに、コスト管理の徹底や効率的な在庫管理によって、収益性をさらに向上させていきます。
■半年で、502万円増益の青果部門
競争が激しいスーパーマーケット(地方のローカルチェーン)の基幹1店舗の青果部門において、わずか半年で502万円の増益を達成した実践事例です。
この成功の背景には、数量管理と品質管理、売場展開計画と主力重点商品の実践的マーケティングの戦略実行があります。
この部門の業績低迷の一番の問題は、なんと言っても、陳列在庫の鮮度が悪いことでした。各単品の数量管理と品質管理が出来ていませんでした。
商品の目利きのスキルを持っておらず、見切りのタイミングも遅く、見切り作業にムダな人時を投入するという毎日を続けていました。
部門別損益を算出して確認したところ、この部門の営業利益は低位に推移し、赤字の月もある状態でした。
・新鮮な商品を提供する
・美味しい商品を提供する
という、青果部門の「基本中の基本」の徹底とそのレベルアップ。
・売場展開や陳列方法を見直す
ことと、
・青果部門の独自企画とプロモーション計画と実践
など、基本的な改善活動によって、徐々に顧客の関心を引き付け、売上は短期間で確実に伸びました。
また、地場農家とのパートナーシップを強化し、高鮮度で安定的な商品供給を確保することで、顧客の支持を高めて売上アップにつなげました。
スーパーマーケットの最重要部門ともいえる野菜の支持率アップは、店舗の集客率を確実に高める効果があります。
今後は、
・基幹店舗の成功事例を全店チーフへシェア(共有)
・知識習得
・スキルアップ計画
などを推進していき、全店での売上拡大と営業利益拡大をめざしていきます。
■基本原則を実行すれば、3ヶ月でも結果は大きく変えられる
短期的な取り組みでも、正しい改善行動を行うことで、早ければ3ヶ月程度で効果が現れることも少なくありません。
今回紹介した3社ともに、その原因は大小様々ですが、共通することがあります。
それは、基本原則をほとんど学んでいないと言うことです。
「知っていれば思考(意識)が変わり、行動が変わる」のです。
ムダに時間やお金を失ってしまうことも少なくなります。
正しく基本原則を学び、正しい改善行動をとることが重要です。
そうすれば、長年低迷していた実績数値を、短期で上向きに変えることが出来ます。
■悩んでいる時間が勿体ない・・・!
悩むだけでは問題は何も解決しません。
現状(現場)を客観的に見つめ、問題点を洗い出し、積極的に解決策を講じる必要があります。そして、行動に移すことでしか、結果を生み出すことができません。
悩んでいる暇があれば、行動に移して結果を出すことに集中しましょう!
あなたの会社には、ビジネスを成功に導く力があることを忘れないでください。
課題に圧倒されるのではなく、これら3つの成功事例から気付き、教訓として受け入れてください。改善に取り組むことで、会社の新たな可能性を見いだすことができます。
「結果の出ない今までのやり方」を止めて、「結果の出る正しい方法」に変える必要があります。
そのためには、業界の経験豊富な経営者や専門家に相談しアドバイスを求めることが、低迷している業績を早期に改善するための最も有効な選択肢であると思います。
■最後に、
3社の事例で知っておいていただきたいことは、
全員が、
「特別な知識を持っていた」でも、
「特殊な技能を持っていた」でも、
ましてや、
「手元資金に余裕があった」訳でもありません。
むしろ、その真逆の状態でした。
ただ素直に、前向きに、改善活動に取り組んでくれたからの成果なのです。
そのことは、大いに褒めたいと思います。
いたって普通の人たちが、大きな成果を生み出しているのです。
可能性を信じて、「会社と従業員の明るい未来をつくる」こと。
そのために必要なことは、最初の一歩を踏み出すことです。