生産性を上げる、戦略的人事考課 【商人舎magazine12月号】原稿
サミットリテイリングセンターのホームページをみた方から、以下のメールが届きました。
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〇〇県〇〇市でスーパーをしています。
人口減高齢化そしてドラッグストアの進出、人流の変化、コロナ、そして電気代高騰でまったく黒字にできません。本当はとうに危険水位を超えています。
ですがなんとか黒字にして経営を続けていきたいと考えております。
まだ手立てはあるのか、もうあきらめた方がいいのか、と考える毎日です。
効果的な方法があるとすればどんな手段があるのか客観的にお知恵をお借りできればと考えております。店舗も老朽化が激しく保守費用もかさんでいます。
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実に深刻な内容のご相談です。
私は、直ぐに連絡を取り、お話をお聞きしました。
しかし、ご相談をいただいた方の様に、この厳しい経営環境の中で、悩みを抱えている経営者は決して少なくないと思います。
スーパーマーケットの経営においては、業態を超えた競争、大幅なコストアップ、人手不足など、企業ごとに大小多くの問題と課題が噴出して来ています。
そして、時間の経過を待てば、これらの問題が収まると言うことでもなく、「将来の展望が見えにくくなってきている」と、経営者の多くの方が口にしています。
重要なことは、基本的で効果的な勉強をすること
色々と電話でお話を伺いました。
現状の経営の状態・・・
出来れば経営を存続したいという思い・・・
現在までの資金繰りのこと・・・
ここ数ケ月間、親族で会議をしていること・・・
などなど・・・。
このスーパーマーケットの社長の前職は、金融機関に勤めていたということです。
単純に考えると、銀行マンと聞けば、経営のプロというイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
しかし、そうではないのです。
勘定科目の数値を確認して、問題を指摘するところまでは出来ると思いますが、実際それをどう解決していくかは別の問題です。
そして、何と言ってもスーパーマーケットという業態は、製造と販売を同時に行うことから、品質管理や数量管理など業務が複雑で、そのための作業種、作業工数も多く存在します。
また、労働集約型であり人件費率が高く、人時売上高や人時生産性の生産効率の管理も要求されます。
これらの課題を解決して、業績を安定成長させていくためには、マーケティングやオペレーション、マネジメントなどの基本原則を学び、ムダを少なく運営する必要があります。
それが出来ているスーパーは、この苦境の中で更に経験を積み、次の成長のためのエネルギーを蓄えて、従業員のスキルアップにも努めていると思います。
借金してでも勉強すること
ここ数年、「二極化」という言葉が多く使われる様になっています。
生活や収入などに関わって良く使われる用語ですが、情報や知識、そして技術の差が、会社の利益や個人の報酬に大きな差を生むことになるでしょう。
自分自身で、「基本原則を勉強していない」と感じている経営者の方は、今後会社を安定成長させるためには、自分自身と経営幹部、そして、従業員の教育と訓練に力を入れるべきです。
枝葉末節の目先の売上を追う様な戦術的なことではなく、実践的マーケティングやオペレーション、マネジメントなどの基本原則を学び、顧客満足度を高めること、そして、営業利益を確実に高めることに集中する戦略的な学びと行動を取ることが重要です。
その意味では、「何を学ぶか」「どう学ぶか」「誰に学ぶか」を明確にする必要があります。
そして、とても重要なことですが、経営者だけが頑張って勉強しても意味がありません。
競争が厳しく、コストが異常に高騰し、多くの職場で人手不足も起きています。
従業員一人ひとりの潜在能力を引き出す努力が必要ですし、弊社のクライアント企業でも、大きな成果を出しているところが多くあります。
あなたの会社にも、現場のパート社員やアルバイト社員の中にも、素晴らしい能力を持っている人は多くいるはずです。
要は、それを引き出すことの出来るマネジメント能力(仕事の仕方)が必要となるのです。
頭数が多いスーパーマーケットにとっては、「宝の山がそこにある」と言えます。
その為にも、ハードではなくソフト面に確実な投資をして、リターンを得ることを考えるべきです。
ブレーンにアイデアを「聞く」という一番大切な行動
正しい業務改善は、短期間でも大きな成果を実現することが出来ます。
重要なポイントは、現場の問題を正しく把握すること。
そして、各種の問題に対して優先順位を付けて、改善活動に取り掛かることです。
また、高い目標設定とトップのリーダーシップが重要であることは言うまでも有りません。
しかし、最初のステップである、「問題の洗い出しと課題設定」が正しくできるかということが問題です。自社の問題となると意外に解らなかったりもします。
また、意外と簡単なようで、理解できていないことが「真因」つまりボトルネックを突き止めることです。
社長や経営幹部の思い込みであったり、買い手側ではなく売り手側の考え方がまかり通っている現場であったりと、経験が邪魔をしてしまっている場合も多いものです。
この様な場合に大事なことは、良いブレーンを持つことでしょう。
確実に業績を上げている経営者や、業績向上の実績を多く持っているコンサルタントなど、適切な経営判断を下せるようにアドバイスしてくれる人たちです。
コンサルタントの私自身のことに照らし合わせても、間違いないことだと思います。
見識を持った第三者の客観的で冷静な意見は、非常に重要なことであり、今後の経営の方向性を正しく決めることに役立つはずです。
目からウロコのアイデアを貰えることも少なくないでしょう。
必要なことは、役に立たないプライドを捨てて、「思い切って聞く」という柔軟な行動です。
そのことで、精神的にも随分と楽になると思います。
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