社業は『人』なり!
とても重要であり、真剣に考えて、ぜひ実践してもらいたいことが有る。
最近、コンサルティングの中で起こった、3つの事例。
計画はしていなかった、でも、遣ってみたら、とんでもない事実が見えてきた。
あなたも中小企業の経営者であるならば、最優先で取り組んだほうが良い、重要な課題。
課題発見、即改善実行(C⇒A)
クライアントの売場に立ち、カットフルーツの売場に目を遣ると、品ぞろえも商品化技術も今一つ。
5月になり、時季的にもこのカテゴリーの売場の出来栄えは、初夏から秋にかけての売上と粗利益に大きなインパクトを与える重要な課題。そして、タイミング。
「カットフルーツの訓練は出来ていますか」と、私がバイヤーに尋ねると、
「いえ、出来ていません。各店バラバラです」という返事が返ってきました。
「30分も有れば、基本的なことは教えられる」と私は考え、青果部門の担当者全員にバックルームに集合してもらう様にお願いして、即興のカットフルーツの実践指導をしたのです。
競合店対策会議の後、社長、商品部長、店舗運営部長も揃っていたので、動画撮影スタッフになっていただき、マニュアル用に調理の様子を動画に撮ってもらいました。
お蔭で、カットフルーツの技術を伝えることと、マニュアルの作り方を教えるという、一石二鳥のことが実現できました。
女性スタッフは、会社の重要な『資産』
「今切っている方法で切ってみてください」とパート社員に伝えて、スイカのブロックを切ってもらった。
その後、担当者に、私の手元が見える位置に立ってもらい、重要なポイントを伝えながら、商品化を進めていった。
注意点など大方の説明を済ませ、実地指導を終わろうとしていた時、
「私も教えてください」
「私も見ていません」
という、バックルームで他の作業をしていた複数の女性パート社員から声が上がりました。
「よし、やりましょう」
時間も押していたのですが、「ここは、止めるわけにはいかない」と考え、全員を見やすい位置に立ってもらい、再度実践指導を行いました。
皆の顔を見ていると、全員真剣に見てくれています。
「この会社には多くの資産が眠っている」
「でも会社は、それに磨きを掛けていない」ということを確信した瞬間でした。
要するに、何年も、同じことの繰り返しを遣らせて、戦略的に重要なことを教え、訓練していなかったのです。
ちなみに、4人いた女性スタッフは、全員60歳を超えていたように思います。
この店舗では、何時見ても、少し暗い雰囲気のバックルームですが、この時は、全く違いました。
「教えてくれたら、私たちは、まだまだ遣るよ!」という感じです。
2度あることは、3度ある
話は続きます。
その4日後。他のクライアントの現場でも、同じことが起こりました。
急遽カットフルーツの実地指導をすることにして、10人程の青果部門のスタッフ
に集まってもらい、重点アイテムの基本技術を教えました。
その時も、女性スタッフの7、8人が参加してくれたのですが、目線をそらすこともなく全員真剣に取り組んでくれました。
そして、この前日、他のクライアントのコンサルティング。Zoomを使って、2時間の予定で行いました。
最初の1時間で、経営幹部。その後、女性スタッフで構成するクリエイティブ部(仮称)の予定です。
1時間の経営幹部のコンサルティングが終わり、休憩を挟んでクリエイティブ部門の時間です。
この部門は、男性社員中心のスーパーマーケットの運営に、女性目線を取り入れ、マーケティングやマーチャンダイジングなど、これまでのマンネリ化した取り組みに対して、改革を行うのが目的で新設した重要なセクションです。
約一時間程度、
・売上を上げる3つの方法
・フロントエンドとバックエンド
・コピーライティング
・重点アイテム管理法
・POPやチラシなどの効果測定
など、事例を交えた私が講義を行い、その後、質問の時間を取りました。
ところが、全員、複数回、大小色々な質問をくれて、終わってみれば、予定より一時間半もオーバーしていました。
質問は、どれも会社の発展に貢献するような的確なもので、全員の真剣度がヒシヒシと伝わってきます。
そして、全スタッフの成長を確信するとともに、こちらも、今後を考えると俄然楽しくなって来た瞬間でした。
生産性の意味を理解する
3つの事例は、会社が発展するために重要な課題である、『部下の教育と訓練』による人財育成の仕組みづくりが重要であることを教えてくれています。
私も、業務改善のコンサルタントとして、経営幹部や各現場のリーダーと接する時間が長いのですが、今回の3つの事例を経験して、コンサルティングの時間配分を考える必要があることを痛感しました。
大手企業と違い、中小零細の会社は、教育の仕組みがほとんどないと言えます。
競争環境が劇的に変化する今の時代、今までの繰り返しでは、人件費などのコストアップと、粗利益の低下によって、生産性は低下するばかりです。
付加価値を生まない作業の工数、投入人時を共に削減して、事例のような付加価値を拡大する作業の比率を戦略的に、そして計画的に確実に拡大していくことが、重要な取り組みとなります。
私の経験から、経営者だけが勉強して、一人で頑張っているパターンが少なくありません。
特に、中小零細のスーパーマーケットの場合、それが顕著です。
しかし、現場で頑張ってくれている女性スタッフのスキルアップを考えた方が、会社の大きな力になることは間違いありません。
その実現のためには、経営者は、教育訓練の仕組みを作ることを重点課題として、戦略的に取り組むべきです。
付加価値を生む作業の比率が高まれば、時給を上げることが可能となり、会社の生産性も確実に向上します。
そのことが、正しく理解できないのであれば、経営者は、それを優先して勉強することです。
「私たちは、教えてくれれば、もっと頑張るよ!」と言っているのですから。