コロナ禍とジョイントベンチャーのすすめ 【商人舎WEBコンテンツ5月号・原稿】
コロナ禍特需で売上がアップしているスーパーマーケット。
多くの企業で、営業利益高も大幅に伸びていることでしょう。
ちなみに、あなたの会社の損益分岐点比率(売上高)は、幾らでしょうか。
即答できる経営者は、どれくらい、いらっしゃるでしょうか。
中小企業のキャッシュレス還元も6月で終了し、コロナ禍特需の勢いも、少しずつ落ち着きつつあります。
しかし、安心していてはいけません。それは、おそらく何時までも続きません。
スーパーマーケットと同じように、ドラックストアも営業利益を増やし、元気に出店戦略を掛けて来るでしょう。
そして、ドラックストアは、スーパーマーケットより狭い商圏での出店が可能なのです。
消費者思考の変化
これまでも、消費者の思考が二極化(低価格志向とライフスタイル思考)されるといわれるといわれていました。
コロナ禍の影響で、将来への不安視する消費者も増えて、それはさらに鮮明となるでしょう。
そのことから、低価格志向の消費者の層は厚みを増して、ドラッグストアやディスカウントストアへの支持は、今後さらに高くなるとも考えられます。
また、消費者全員が、完全に志向が二分されてしまうわけではなく、安全なもの、鮮度の良いもの、美味しいもの、楽しいものといった、付加価値のある商品やサービスには、賢くお金を使うことも十分理解しておく必要があります。
ここに、スーパーマーケットの強みを出せる、チャンスがあるといえます。
今、行動すべきことは…?
売上の調子が良い時に行っておくべきこと。
それは、将来の長期的なことに視点を置き、会社を堅実に成長させるための『仕組み』を手に入れることに努力(行動)をすることです。
具体的に言うと、損益分岐点比率を下げるための仕組みをつくることです。
そこに視点を置いて、業務全般の見直しを行うということです。
特に、損益分岐点売上高よりも、直接的に、粗利益高と固定経費の関係で考える、損益分岐点比率に視点を置いて考えることです。
多くのムダを無くす
私の経験から言うと、スーパーマーケットの現場には、山ほどのムダがあります。
(利益が、眠っているとも表現できます。)
それらのムダを減らすことが出来れば、粗利益の拡大と、経費の低減によって、会社には大きな利益がもたらされます。
それも、今まで考えられなかったような、記録的な利益が、です。
今まで現場でやっている、『当たり前のこと』に多くのムダ(コストとロス)が存在しています。
そして、そのムダな行いは、更にムダを呼び込んでしまう場合が、多くあります。
例えば、数量管理がうまくいっていなければ、
・機会ロス
・作り過ぎ
・出し過ぎ
・値引き作業
・廃棄作業
・帳簿記入
など、商品ロスだけではなく、作業ロスを生み出してしまうことになります。
しかし、そのムダの減らし方を正しく理解している社長や経営者は、少ないと思います。
先述したように、ドラックストアの出店の勢いは、止まる気配が全くありません。それどころか、今回のコロナ禍の中で、売上も利益も大きく伸ばしているドラックストア企業が多くあるでしょう。
くすりや化粧品の高値入れをもとに、加工食品や雑貨品を低価格で販売して集客する営業戦略。
このことは、損益分岐点が高く、生産性が低いスーパーマーケットにとっては、非常に厄介であり脅威です。
そして更に、生鮮部門の強化を戦略に加えてきたドラックストアもあります。そういう店舗が、近くに出店してきたら…。
理論と実践で確実に成果を出す!
例えば、商品ロスを1%減らすことが出来れば、営業利益が1%増えるのです。
60万円の売上の部門ならば、1%のロスの削減で、1日6千円の現金が手元に残ることになります。
1ケ月では、約18万円。
半年で、108万円。
1年では、なんと、216万円以上のお金が増えるのです。
たった、1%のロス改善で…、です。
このロスの事例は、スーパーの中に存在する多くのムダのほんの一部分でしかありません。
その他にも、
・ムダな人時(人員)投入
・ムダな販促費
・ムダな在庫
・ムダな管理経費
そして、
・欠品によるチャンス・ロス
など、日々当たり前にやってしまっている、これらのムダを、改善することが出来れば、会社にはとんでもない利益を残すことが出来るのです。
正しい方法を、知らない・・・?
なのに、
・問題に気付いていない…。
・問題と考えていない…。
・知らない…。
・目先の売上を上げることばかりやってきた…。(多くの社長の声)
会社が多いのです。
これから、更に厳しい競争が始まる時、上っ面のノウハウばかりを習い、目先の売上だけを追っているとどういうことになるのか…。
「売上が多少増えても、作業量が増え、在庫が残りロスになり、大した粗利益も残らなかった、、、」という現場の声を多く聞きます。
実際に上っ面のノウハウを追っかけ続けて、「儲け(営業利益)が改善したか…」を考えれば、解ると思います。
環境の変化のスピードが速く、競争が厳しさを増すときに、『遣るべきこと』、『遣ってはいけないこと』を、正しく理解して、少しでも早く改善行動をとることが、とても重要になっています。
頑張っても、結果が出ない・・・
本来であれば、目先のことだけでなく、「将来の長期的なことに時間を使って、会社をもっと堅実に成長させたい」と思っているオーナーは、多いでしょう。
しかし、それを実現できない原因の大きな一つが、これらのムダの存在です。
私が、コンサルティングの現場で感じることは、基本原則を勉強していない会社が、意外に多いということです。
「売上を上げれば、何とかなる…」と思っても、もう、そういう時代ではありません。コロナ禍需要も、何時までも続くとは考えないほうが良いでしょう。
現場のコストとロスを減らすことが出来れば、会社の営業利益は、飛躍的にアップします。
その方法を知っていれば、苦労することなく、がっちり稼ぐことが出来ます。
そして、現場の作業は確実に、簡単に…、早く…、
そして、楽になります。
言い方を変えれば、現場にある数多くのムダのために、多くの時間と、多くのお金をムダに使ってしまっているのです。
次回は、さらに具体的解決事例を付けて解説します。
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