徹底した“高鮮度”を売ることで地域一番店になる!
生産性アップは、スーパーマーケットにとって待ったなしの重要課題になってきています。
今回は、そのコンセプトと生産性の向上との関係について、解説したいと思います。
目的を達成するための一貫した考え方。それが、コンセプトです。
コンセプトを持っていれば、目先の戦術に振り回されることがなく、目的に向かって無駄が少なく効率よく進むことが出来ます。
例え、途中で道に迷うようなことがあっても、コンセプトを持っていることによって、軌道修正することを思い出させてくれます。
言わば、コンセプトは、コンパスの役目をしてくれるものです。
そして、コンセプトを立てて行動するということは、多くの無駄を削ぎ落とすことにもなり、仕事全体の生産性をアップさせることにも大いに貢献することになります。
「らしさ・・・」を考える
先般、ある企業の新規オープンのコンサルティングをする機会がありました。
私が、「ところで、新店のコンセプトを立てていますか」と聞くと、立てていないと答えが返ってきます。
ここで言うコンセプトとは、店舗をオープンするときの、店づくりの概念やお客に対する思いということです。
簡単に言えば、「お客にどんな経験をしてもらうのか?」ということです。
店舗としては、お客や地域に対して、「どうなりたいか」「どうあるべきか」、と言う思いや考え方のことになります。要するにお店の存在意義(目的)です。
つまり、「らしさ・・・」を出す(表現する)ということにもなります。
私の経験から言うと、この「らしさ・・・」を考えていない中小企業が圧倒的に多いように思います。
また、同じように目標や手段についても、明確化されていない状態も良く見ます。
スポーツや勉強においても「目的や目標を持っている人は、強い」と良く言われています。
このことは、ビジネスでも、全く同じことが言えるでしょう。
明確な目標が、適切な手段を考えることにも繋がります。
そして、目的、最上位目標、目標、方法、手段(好業績を出すための行動様式)という様に、明確になっていれば、全体としてムダを少なく行動することが出来ます。
どのような店を開店させるのか⁉
店舗のコンセプトは、店舗の大きさや売上規模のことではありません。
地域で、「どのようなお店になるのか」。「どのような価値をお客に提供するか」ということです。
例えば、下記の表が、今回の新規オープンする店舗の「ストア・コンセプト」の事例です。
書いている内容は、新入社員でもある程度理解できる内容になっています。そして、特に目新しさもない当たり前の内容です。
しかし、重要なことは、お客に対して、この思いをどのレベルで、「どのように具現化して提供できるか」ということが重要になります。
よく社長室や事務所の壁に掛かっている額縁入りの経営理念の様な、絵に描いた餅状態では、何の役にも立ちません。
今回の事例の内容を具体的に説明していきたいと思います。
ストア・コンセプトの事例解説
この店舗のコンセプトのタイトルは、
『新鮮、美味しい、面白い…。「なんでも」 無いけど、「これッ」 が有る⁉
街のデスティネーション・ストア(destination store)』
です。
この店舗は、500平米程度の店舗で、品揃えは、中・大型店と比較して少なくならざるを得ません。ある意味、お客に我慢をしてもらうことになります。
しかし、「うちの店には、これがある‼」といった、独自の商品やサービスが有るということを目指すことを謳っています。
その中でも、「新鮮」「美味しい」そして、「面白い」を実現する(実感できる)と言う内容(目標)になっています。
■新鮮【思い】
・お客様に、高位の鮮度を常に体験していただく・お客様に、新鮮な商品を使って、料理を楽しんでいただく
【行動指針】
・鮮度地域“ダントツ一番”の鮮度を目指す。・数量管理、品質管理の行為徹底とそのための仕組みづくりを行う
■美味しい
【思い】
・お客様に、笑顔の出る美味しさを体験していただく
・お客様に、美味しい料理を作っていただく
【行動指針】
・安心安全を基本に、商品開発の頻度を上げる・女性の目線、料理の課題解決、トレンドを理解し行動する
■面白い
【思い】
・お客様に、楽しい、面白い、“新たな体験”をしていただく
・お客様に、嬉しい体験をしていただく
【行動指針】
・価格ではなく、体験価値に重点を置いて行動する
・価値を創造し、仕事を楽しみ、売り場を作る
そして、デスティネーションストとは、 ・お客がその店だけを目的に来店する店
・その店にしかない商品、サービス、品質が信用できる
・売切れがなく確実にそろっている
・独自の商品情報にメニュー提案や演出がある
・どうしても行きたくなるようなお店
・無意識且つ瞬間的に思い浮かぶお店
・お客の心の中で第一に起想されるお店、ブランド
と言うことを目指すということです。
コンセプト策定の成果
では、コンセプトを立てて行動したことによって、どの様な結果が出てきたか、幾つかの事例を紹介しましょう。
先ずは、青果売場です。
コンセプトの実現に向けて、「美味しい商品」のバイイングに取り組みをしてもらいました。
県内はもとより、他府県の優良産地に出向き、生産者を特定し、新規ベンダーとの取引や物流の仕組みも作りました。
特に、トマトは、高糖度の商品の品ぞろえを中心に売り場展開して、お客の高い支持を得て、その構成比は15%以上を推移しています。
次に、精肉売場ですが、ベンダーにも協力してもらい、なかなか品揃えできない地域の銘柄牛を販売することが実現できました。
このことを中心に、お客の支持を得て、通常店舗より2~3%高い売上高構成比を実現しています。
お菓子売場では、地域の人気商品から、バイヤーがメーカーを直接訪問して決定した商品、新規ベンダーにお願いして、思いを持ったメーカーの美味しい商品をご紹介してもらい、売場展開することが出来て、これらも、お客の高い支持を得ています。
その分、グロサリーのNB商品の構成比は低くなっています。
しかし、これは想定していたことであり、
コンセプトである、『「なんでも」 無いけど、「これッ」 が有る⁉』を実現しています。
物理的に品揃えの数では他店に勝てるわけがありません。
しかし、うちの店には、他所に無い「こんな良いものが有る」という意味です。
それは、商品かもしれません。
お客への提案の仕方かもしれません。
また、
他所には無い(できない)サービスかもしれません。
そして何より、
温かな、気遣いのある接客(接遇)かもしれません。
尖がる方法は、幾らでもあります。
小規模店が、生き残る方法
とは言え、尖がること(ブルーオーシャンの実現)を単純に考えていては、ビジネスは成り立ちません。
前提にある重要要件として、
①生産性の高いオペレーションを構築する
②高い値入れ決定技術
③少ない店内在庫
などが実現できなければ、営業利益が出にくく、継続の可能性が低くなってしまいます。
お客のベネフィットに繋がらない、また、経営としても成果に繋がらない作業や在庫を無くす(減らす)ことが重要となります。
そして、
そのことによって、産出した時間やお金を、尖がることに集中して投資することを考えるのです。
これが真の生産性の向上を実現することに繋がります。
「どうしても行きたくなるようなお店」
「無意識且つ瞬間的に思い浮かぶお店」
になること。
これが、コンセプトを持っているお店の最終目標なのです。
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