自宅で暮らし続けるために、保佐人の利用を ☆成年後見vol.11③☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
保佐人は、どんな権限を与えられて、本人の財産や生活環境を守る役割を果たすのでしょうか。
基本形は、
民法13条1項に定められている「重要な法律行為」9項目に関する
同意権と取消権の2つです。
以下の9つの法律行為については、
保佐人の同意がなければ、本人も、保佐人も、その法律行為を取消すことができます。
① 利息や賃料といった価値を生み出す元となる財産(元本といいます。)を
受け取ったり、お金を貸したり、不動産を賃貸して利用すること。
② 借財または保証をすること。
③ 本人又は誰かのだめに、抵当権等の担保権を設定したり、
銀行に預金をしたり、上場株式の売買をしたり、投資信託を購入したり、
有償の委任契約をしたり、人を雇い入れたり、
施設入所契約や介護サービス利用契約といった契約をすること。
範囲が広いと考えられると思いますが、「重要な」財産であるかどうかは、
一般常識と本人の当時の経済状態から判断することになります。
④ 自らが原告となって訴訟をする一切の行為。
被告となって訴訟行為をすることは含まれません。
⑤ 誰かに贈与したり、裁判外・裁判内を問わず、和解をすること。
⑥ 相続の単純承認、限定承認、相続放棄そして遺産分割協議をすること。
相続の単純承認では、資産だけでなく借金も引き継ぐことになるからです。
⑦ 贈与や遺贈を断ったり、負担付贈与や負担付遺贈を承認すること。
負担付の問題点は、義務を負担することになるところです。
⑧ 新築、改築、増築または大修繕をすること。
⑨ 短期賃貸借の期間を超える賃貸借契約をすること。
短期賃貸借とは、
・樹木の植栽、伐採目的の山林の賃貸借では10年
・その他の土地の賃貸借では5年
・建物の賃貸借では3年
・動産の賃貸借では6カ月
日常生活に関する行為については、同意・取消権の対象となりません。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755