テミス通信第58号掲載しました
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
取締役や監査役に親族を選任している会社は多いと思いますが、
認知症等で後見開始決定となったり、保佐開始決定となると同時に、
それらの役員は退任することになります。
ところが、ご本人が後見相当の状態であったとしても、開始決定がない限り退任事由とはなりません。
今日、後見開始申立の準備にH市のお宅に伺っていました。
準備の山場は、収支予定表の作成です。
ここを漏らさずに仕上げることが、後見人が就任後の仕事をしやすくします。
特に支出項目は落とさないように慎重に。
収入についても、年金だけでなく賃貸不動産の賃料があったり、会社の役員報酬であったりする場合もありますので、
預金通帳や確定申告書を拝見して、見落とさないようにします。
今回も、ご本人が役員報酬を受け取っていることが、申告書からわかりました。
後見相当の状態であったとしても、そのままであれば退任事由とはなりませんが、
後見開始決定が出ると、当然に退任となってしまいます。
もっとも、改めて後見あるいは保佐相当の状態の方を取締役に選任することには、疑問を持ちます。
取締役は重い責任を負います。ために、その就任はご本人の保護に欠けるでしょう。
それだけでなく、例え選任されたとしても、就任承諾する意思能力があるのかどうか、選任が有効になされるのかどうか疑問です。
就任承諾したときのその方の能力を、個別に判断するしかありません。
今日のケースは、今さら辞任もしていただけませんので、
後見開始決定と同時に取締役は退任ということでご了解いただきました。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com