第9回 チーム一体化!共通目標は「ロス削減」から

中坊崇嗣

中坊崇嗣

テーマ:スーパー店長育成コーチング実践録



チームのバラバラな方向性を一つにまとめたい。そう思った時、リーダーがすべきは言葉の羅列ではなく、明確な「目標」を示すことです。 第9回は、バラバラだった店舗スタッフを一丸にし、劇的な数値改善をもたらした、ある「張り紙」の物語をお話しします。

前回、店長が勇気を持って自分の意見をスタッフに伝え、チームワークの第一歩を踏み出したエピソードを紹介しました。 しかし、信頼関係が醸成され、コミュニケーションが取れるようになっただけでは、店舗経営は成り立ちません。 売上を上げ、利益を確保する。そのための「共通言語」が必要でした。私は店長に、チームの一体感を醸成しつつ、直接的に利益を改善できる目標設定を提案しました。 それが「店舗全体のロス削減」です。売上を上げるのは難しい。しかし、廃棄商品を減らすロス削減は、スタッフ一人ひとりの行動で明日からでも結果が出せる。かつ、店舗全体の数値意識を高めるのに最適な目標でした。

【「張り紙」が起こした奇跡】店長はすぐに行動に移しました。 彼がやったことはシンプルです。店舗のバックヤードに、以下の内容を記した張り紙をしました。

店舗の経営目的: 私たちは売上・収益を上げるためにここにいる。

ロスの意味: ロスは収益を直接的に減らし、スタッフの努力を無にするものである。

具体的な目標: 利益を上げるため、今月はロスを〇%減らす!

最初は、「そんなことで変わるのか?」と半信半疑だった店長。 しかし、結果は驚くべきものでした。なんと、次の月のロス率が約3ポイントも下がったのです。 なぜ、これほど劇的な成果が出たのか。それはスタッフ全員が「自分の仕事が利益にどう影響しているか」を理解し、「ロスを減らしたい」という思いを共有できたからです。

【成果を生んだ「3つのポイント」】この成功要因を分析すると、リーダーとしての「人に影響を与える力」の本質が見えてきます。

目標の共有: 何を目指しているのか、スタッフ全員が同じ認識を持った。

手段の共感: 目標達成のために「どう行動すればよいか」を共有し、スタッフもそれを納得した。

環境の整備: 張り紙という形で常に見える化し、意識し続けられるようにした。

ロス削減の成功は、スタッフにとって「自分たちの努力で成果が出た」という成功体験になり、店舗全体の参画意識を劇的に高めました。 店長は、この経験を通じて「リーダーが目標を明確に示せば、チームは変わる」という確信を得たのです。

【コーチの視点】あなたのチームのスタッフは、今月の目標を「自分事」として理解していますか? 「売上を上げろ」と言うだけでは、スタッフは動かない。 「なぜ利益が必要なのか」「ロス削減が自分たちにどうプラスになるのか」を論理的かつ情熱を持って伝えること。それがリーダーの仕事です。

次回は、「第10回 成功体験を「仕組み」に変えて、組織を自走させる」です。

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中坊崇嗣
専門家

中坊崇嗣(経営コンサルタント)

株式会社NMR流通総研

経営者の「右腕」的立場で、組織活性化・経営支援・マーケティングの3本柱でコンサルティングを提供。小売経営や事業承継など実体験をもとに、現場を深く理解して施策を提案。企業の強みを生かし、成果を導きます。

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