相続した空き店舗・賃貸マンションの相談先に迷う方へ|伴走支援の実例紹介

菊池浩史

菊池浩史

テーマ:空き家と住まいの終活

親から不動産を相続したものの、これから何をどういう順番で進めればいいのか分からず、戸惑う人は少なくありません。売るのか、貸し続けるのか、方向性を自分なりに決めていても、その先の具体的な手順となると途端に足が止まってしまう。こうしたケースが多く見られます。

先日も、関西の都市部にお住まいの高齢の女性から、まさに同じお悩みをお聞きしました。親御さんから、ご自宅に加えて貸店舗と空き店舗、そして賃貸マンションまで相続された方です。「売る」「貸し続ける」という大きな方針はご自身で決めていたようですが、そこから先に進めずに困っておられました。

この記事では、相続した不動産の整理を、どんな順番で、誰に相談しながら進めていけばよいのかを、私が実際に伴走しているケースを通じてお伝えします。

方向性は決めていても手順が分からない
売るのか、貸し続けるのかの方向性を決めることと、その先の手順を描くことは、まったく別の作業です。そのため、この段階でつまずく方が多くいらっしゃいます。

先ほどの女性のケースでは、「貸店舗と空き店舗はテナントが退去したら売却する」「賃貸マンションはこのまま所有し続ける」という方針だけは、ご自身のなかで固めておられました。しかし、立ち退きの手続きはどう進めるのか、売却の時期はいつが適切か、いくらで売れる見込みなのか、一つひとつを具体的な段取りに落とし込む段になると、何から手をつけてよいか分からなくなり、しかも、身近に相談できる相手がどなたもおられませんでした。

自分がお元気なうちに道筋をつけておきたい、というお気持ちは強いのですが、それでも一歩が踏み出せないでいたようで、私がお会いしたとき、この方は少しホッとしたご様子でした。相談する相手がいるというだけで、抱えていた重さが軽くなる。そういう場面に、私は何度も立ち会ってきました。

相続の相談は誰にすればよいのか
ここで、相続にまつわる相談先の基本を整理しておきます。実は、相続の問題は一人の専門家ですべてが片づくものではありません。

法律に関わる事項は弁護士、登記に関わる事項は司法書士、相続税に関わる事項は税理士、そして売却に関わる事項は不動産業者。それぞれの分野に、それぞれの専門家がいる。これが相続相談の基本形です。

しかし、不動産を相続した多くの方は、未利用や低利用の土地・建物、あるいは空き家になった実家をどうにかしたいと考えながらも、そもそも「誰に相談すればいいのか」が分からず、最初の一歩を踏み出せずにいます。

弁護士なのか、税理士なのか、不動産業者なのか。自分の悩みがどの専門家の領域なのかを見極めること自体が、実はとても難しい。

こうした状況で助けになるのが、特定の専門家の立場に偏らず、中立的な立場から全体を見渡し、どの専門家に、どの順番で相談すべきかを整理する役割です。この役割は近年「セカンドオピニオン」と呼ばれ、住宅分野でも少しずつ知られるようになってきました。

私が代表を務める「住まいの消費者教育研究所」は、住まいのセカンドオピニオンとして、中立性・第三者性を大切にしています。どの専門家に、どの順番でつなぐべきか。その交通整理を担うのが、住まいの消費者教育研究所の役割です。

現況調査から始める整理の進め方
先ほどの女性のケースで私が最初に行ったのは、ご本人のご意向の確認と、不動産の現況調査でした。

貸店舗と空き店舗については、売却条件を一つずつ整理していきました。テナントの立ち退きに関わる手続き、売却の時期、そして売却を想定した価格。こうした要素を洗い出し、ご本人が納得できる形に落とし込んでいく。方針が決まっていても、この整理があるかないかで、その後の進み方はまったく変わります。

賃貸マンションについては、管理体制そのものを整えることから着手しました。賃貸借契約書の作成、高齢の入居者への対応、空き区画の募集方針づくりなど、所有し続けると決めた資産だからこそ、長く安定して運営できる土台を整えておく必要があります。

高齢入居者への対応で工夫したこと
このケースで私がとくに心を砕いたのが、賃貸マンションにお住まいの高齢の入居者への対応でした。実は、長くお住まいの入居者のなかには、きちんとした賃貸借契約書を交わしていない方もおられました。そこで、変更契約書と覚書を新たに締結し、契約関係を明確にしていきました。さらに、孤独死といった万一の事態への備えも視野に入れながら、契約内容を見直していきます。UR賃貸住宅の管理運営に長く携わり、有料老人ホームの現場も経験してきた私にとって、高齢期の住まいにどんな配慮が必要かは、実感を伴って分かる部分です。

そして何より大切にしているのが、ご依頼者の事情に配慮し、そのお気持ちに寄り添いながら進めることです。急がせない、置き去りにしない、ご本人のペースで、隣を歩くように支える。私はこれを「伴走支援」と呼んでいます。伴走支援とは、答えを一方的に示すのではなく、ご依頼者と同じ方向を向いて、一緒に道を歩みながら課題を解決していく関わり方のことです。

このケースは今も伴走の途中で、長いお付き合いを想定しています。それでも「助かりました」「菊池先生がいなければ、ここまで進まなかった」という言葉をいただけたことは、私にとって何よりの励みになっています。

空き家の問題は、これからますます深刻になっていくでしょう。未利用のまま放置される土地や建物、空き家になった実家など、こうした資産を前に、「解決したいのに誰に相談していいか分からない」という方は、決して少なくありません。

そんなとき、相談に乗り、隣で伴走してくれるパートナーの存在が、最初の一歩を後押しします。住まいの消費者教育研究所は、関西を拠点に、こうした住まいのセカンドオピニオンとして、皆さまのそばで歩んでいきます。

まとめ
相続した不動産の整理は、方向性を決めた後の「手順」と「相談相手」がそろえば、必ず前に進められるものです。一人で抱え込まず、まずは全体を見渡す相手を持つことが、その第一歩です。

・相続した不動産を、何から手をつければよいか分からない
・身近に相談できる相手がおらず、一歩を踏み出せずにいる
・元気なうちに、資産の道筋をつけておきたい

このような方は、まずはお気軽にご相談ください。

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菊池浩史

住まいの消費者教育研究所

住まいにまつわるビジネス経験や、不動産鑑定士としての専門的知見を活かし、顧客ファーストで「住まい教育」を普及・実践。住まい選びやメンテナンス、そして家仕舞いまで、ワンストップでトータルサポートします。

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