日本のゴルフ場で「1ホール2グリーン」が必要だった理由
日本のゴルフは明治時代の神戸から
明治期におけるヨーロッパから日本へ渡ってきた代表的なスポーツとして、サッカー、テニス、そしてゴルフが挙げられます。
サッカーやテニス、また野球などは東京、横浜が”はじまり“とされていますが、これらスポーツの中で、唯一、関西の神戸を”はじまり“としているのが“ゴルフ”です。
ゴルフは、1901年(明治34年)外国人居留地のある神戸の六甲山に日本で最初の4ホールズのゴルフ場がつくられました。このゴルフ場の創設者は英国人の貿易商アーサー・ヘスケル・グルーム(Arthur Hesketh Groom)。
グルームさんは1846年、ロンドンに生まれ。22歳の1868年(慶応3年)、幕末史で有名なグラバー商会の神戸支店開設のため、初めて神戸にやって来ました。その後、お茶の貿易商として成功し、1918年に神戸で没するまで、神戸の発展に様々に貢献したそうです。
日本初ゴルフ場は英国人の手造り
グルームさんは神戸六甲山の自然を愛し、その眺望の素晴らしさから山荘を建て、友人たちを誘って避暑地としていました。その社交場からゴルフコースをつくろうという話が持ち上がったようです。
早速、グルームは何人かの仲間の協力を得て、岩を掘り起し、雑草や笹の根を手鎌で刈り取り、ツツジの根を引き抜いたりという全くの人手によって、3年を費やして4ホールのゴルフコースを作りました。コースは非常に素朴なもので、当初のパッティンググリーンは芝生ではなくサンド(砂)でした。
その後コースは、1903年(明治36年)に9ホールズとなり、その年の5月24日に「神戸ゴルフ倶楽部」が発足し、日本初のゴルフ倶楽部が誕生しました。現在では、この日を「ゴルフ場記念日」と定められています。
1904(明治37)年には、さらに9ホール拡張され、全長3576ヤード、パー60の18ホールズが完成しました。18ホールズのティーインググラウンドやパッティンググリーンは、すべて砂を固めて造られて、六甲のサンドグリーンは長い間名物的な存在でした。
その後、1933年(昭和8年)に全ホールをコウライグリーンに、また戦後の1948年(昭和23年)にコースの復旧とともに米国より取り寄せたベントグリーンに変わり、現在に至っています。
1904(明治37)年には、さらに9ホール拡張され、全長3576ヤード、パー60の18ホールズが完成しました。18ホールズのティーインググラウンドやパッティンググリーンは、すべて砂を固めて造られて、六甲のサンドグリーンは長い間名物的な存在でした。その後、1933年(昭和8年)に全ホールをコウライグリーンに、また戦後の1948年(昭和23年)にコースの復旧とともに米国より取り寄せたベントグリーンに変わり、現在に至っています。
“日本ゴルフの聖地”神戸ゴルフ倶楽部
「神戸ゴルフ倶楽部」は、“日本ゴルフの聖地”として、今もある種独特の雰囲気を持っています。非常に簡素でありながらも、明治時代に英国人が自然の中でのレジャーと社交の場として親しんだ歴史の香りを大いに感じさせるクラブハウスとコースです。
コースにはパー5ホールはなく、距離の短い典型的な山岳コースです。パッティンググリーンも小さく、グリーンを外した時は深いラフが待ち構えており、デリケートなショットが要求されます。
ゴルフカートがなく“担ぎ”のプレーとなります。キャディー付きの場合は、キャディーさん1人で4つのバッグを担ぎます。倶楽部では、キャディーさんの負担を考慮し、クラブは10本以内に制限していますが、短いコースながら山岳の厳しいアップダウンを4バック担いで走るキャディーさんの姿には脱帽すること間違いありません。
コースは自然環境に配慮した草地管理により、多種多様な生き物の住処となり、絶滅が危惧される動植物の重要な保護地になっています。六甲山の持つ草地環境がしっかりと維持されています。
雑草を絶やして芝生だけが綺麗に生えそろっている日本の一般的なゴルフ場とは大きく違い、雑草と言われる草種もコースを彩る植物として元気に存在している姿は、コース管理に携わった1人として、カルチャーショックを受けるには十分なゴルフコースです。
機会があれば、ぜひ「神戸ゴルフ倶楽部」で日本ゴルフの歴史を肌で感じていただきたいと思います。
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