中小企業の知財戦略
パナソニック、シャープ、ソニー等の世界のエレクトロニクスメーカの不調が報道されて久しいですが、これらはどちらかというと、液晶テレビや携帯電話等のセットメーカとしての不調です。
それに加えて、ルネサス、エルピーダ等の、半導体企業の破たんも深刻な問題。この分野で、なぜ日本企業が不振に陥ったか、興味深い意見が、日本経済研究センターから出ています。
「システムLSIの初歩的誤算」 (日本経済研究センター 研究顧問 西岡幸一 2013.2.21)
「日本の半導体企業は、メモリ分野で世間を席巻したが、台湾勢の追い上げに屈し、次にシステムLSI(特定の電気回路を、ワンチップにしたもの)の分野を有望視して、事業展開した。しかし、初めのうちはよかったが、あれよあれよという間に、また台湾勢や米国勢のシステムLSI企業に負けてしまった。この分野でトップを走っていた、日立、三菱電機、パナソニック、NEC,富士通等は事業の不振に耐えかねて、合従連衡を繰り返し、ついには、システムLSI分野で、ただ一つの企業に収れんされようとしている。」という、状況です。
どうしてこうなったか。それは、これらの経営戦略で、どのように作るかの製造技術の優位性に自信を持ち、過信しすぎ、大事なコンセプト設計(ないを作るか)を軽視したため、と断じています。世界のシステムLSI企業は、米国、台湾勢を含め、この設計技術に特化してきたのにも、かかわらず。
この構図は、システムLSI業界だけでなく、広く日本のものつくり産業の構造的問題ではないでしょうか。
21世紀の日本のものづくりは、早くこのような、失敗から脱出すべきでしょう。