これからも産業人材「交流型イノベータ」とは?
最近話題の本、「WORK SHIFT」(リンダ・グラットン著、プレジデント社 2012)を読みました。この本は、一か月ほど前に、出張先の近くの本屋で偶然見つけて、買ってきた本です。名前は、Twitterなどで、時々目にしていましたので、何となく今話題の本かな、というぐらいで、詳しくは知らなかったのですが、読んでみると結構面白く、一気に読み切ってしまいました。
著者のリンダ・グラットンは、ロンドン・ビジネススクールの女性教授で、経営組織論の世界的権威です。イギリスのタイムズ紙が選んだ「世界のトップビジネス思想家15人」の一人とか。すごい人です。
さて、この本の内容ですが、2025年の時点で、我々の働き方はどのように変化しているのだろうか、というのが主題です。2025年に働く人のモデルケースを挙げて、1990年の時点での働き方と比較し、わかりやすくその変化を浮き彫りにしています。
未来は、(1)テクノロジーの進化、(2)グローバル化の進展、(3)人口構成の変化と長寿命化、(4)社会の変化、(5)エネルギー・環境問題の深刻化によって影響を受け、働き方が大きく変化するとしています。
面白いのは、まずその要因のもたらす、影の部分を浮き彫りにしていることです。時間に追われ続け、孤独にさいなまれ、新しい貧困層の出現等、暗い未来を描き、危機感を募らせます。
そして、そのような影の部分を払しょくする、明るい部分として、大企業ではなく、ミニ起業家が活躍できることや世界中の多くの人たちとつながりを持て協働作業が容易になることを挙げています。
では、そのような社会での働き方は、現在と比べてどう変化するのでしょうか。
著者は、3つのWORK SHIFTを挙げています。一つ目のシフトは、ゼネラリストが通用しなくなり「スペシャリスト」が要求される社会、二つ目は、人的ネットワークを活用して起こす協働型イノベーションの世界、そして最後が 消費より個人の経験に価値を置く価値観の変化です。
つまり、現在のような大企業に勤め、ゼネラリストをめざし、人を押しのけ高い給与をもらうのが、勝ち組のキャリアだという世界から、企業に必ずしも属さずとも高い専門能力を持ち、その能力を世界中の同様の専門家とつながることで、良い仕事をし、例え高い報酬をもらえずとも、仕事の質の充実感で、生きがいを感じるという働き方にシフトしていくと。
そして、そのためには、個人としての自立性をはぐくむ必要があると。
さあ、2025年はこんな時代になるようです。2025年といえば、あと13年。あっという間です。今から、未来に向けて、WORK SHIFTの準備をしていく必要がありそうです。
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馬塲孝夫 BAMBA takao
ティーベイション株式会社 代表取締役社長
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