創業時の家族から“語られるべき物語”が失われる

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の心理的.感情的な悩み後悔

同族家族経営の会社で、創業者と家族の想いや、会社の文化が次世代に語り継がれず、絆が薄れていくというケースが頻繁にあります。以下に、原因と手っ取り早くできる改善策を整理したいと思います。

原因1.創業者の想いの「語り部」不在

創業者の世代は、苦労を重ねて会社を立ち上げ、育ててきたため、自分たちの言葉でその想いや文化を伝えてきました。しかし、次世代、特に3代目以降になると、直接創業者から話を聞く機会が少なくなり、創業者の想いを「語り部」として伝えられる人がいなくなる傾向があります。

原因2.価値観の希薄化と世代間のギャップ

創業から時間が経つにつれて、社会情勢や価値観は変化します。創業者の時代には当たり前だった考え方や文化が、現代の世代には理解されにくくなることがあります。この世代間のギャップが、創業者の想いを共有しにくくする原因となっています。

原因3.記録の欠如と形式的な伝承

創業者の想いや会社の文化が、具体的な言葉や行動として明文化されていない場合が多いです。口頭での伝承に頼りがちなため、時間とともに内容が薄まったり、誤って解釈されたりするリスクもあります。

原因4.家族間のコミュニケーション不足

同族.家族経営の企業において、家族間、特に世代間のコミュニケーションが不足していると、会社の歴史や文化、創業者の哲学などが共有されにくくなります。事業承継が形式的に進むだけで、精神的な承継がおろそかになるため、会社への愛着や一体感が徐々に失われていきます。

原因5.経営の優先順位の偏り

世代交代期は、事業の拡大や経営効率の改善など、目の前の経営課題に追われがちです。そのため、会社の歴史や文化を次世代に伝えること、つまり「見えない資産」の継承が後回しにされてしまうことがあります。

パイオニア

改善策1.創業物語の言語化と共有の場の創設

創業者の想いや会社の文化を明文化し、共有する機会を作り出すことが重要です。

「創業物語」の作成:

創業時の出来事、苦労、成功体験、そして創業者が会社に込めた哲学や価値観を、文章や映像で記録します。これは単なる社史ではなく、感情や情熱が伝わるような物語として表現することが重要です。

「語り部」セッションの実施:

創業者や初期から会社を支えてきた社員が、直接次世代の社員に創業物語や会社の文化を語るセッションを定期的に設けます。質疑応答の時間を設けることで、より深い理解と共感を促します。

社内イントラや社内報での連載:

創業物語や会社の文化に関するコンテンツを、社内イントラネットや社内報で定期的に発信し、常に従業員が触れられる環境を作ります。

改善策2.家族会議・ファミリーガバナンスの導入

家族経営における問題解決の鍵は、一族のコミュニケーションにあります。

定期的な家族会議の開催:

経営に関する議論だけでなく、家族の絆を深め、創業者の想いを共有するための家族会議を定期的に開催します。この場で、会社に対するそれぞれの考えや期待を率直に話し合う機会を設けます。

ファミリー憲章の作成:

創業者の理念や家族としての会社への関わり方、承継のルールなどを明文化した「ファミリー憲章」を作成します。これにより、家族共通の規範意識を醸成し、将来的な紛争のリスクを低減します。

改善策3.メンター制度・OJTの強化

非公式な形での伝承も重要です。

次世代リーダーへのメンター制度:

創業者や現経営者が、次世代を担うリーダー候補に対し、個人的なメンターとなり、経営哲学や仕事への向き合い方などを直接指導する機会を設けます。形式的な研修よりも、生きた経験に基づいた学びが重要です。

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の深化:

日常業務の中で、創業者の思想や会社の文化に触れる機会を増やします。特に意思決定のプロセスにおいて、なぜその判断に至ったのか、創業者の哲学に照らし合わせて説明する時間を設けることが有効です。

会長笑顔

結びに

これらの改善策は、形式的な事業承継だけでなく、創業者の精神的なレガシー(遺産)を次世代に確実に受け継がせるためのものです。
創業者の想いを現代の言葉で「会社の存在意義(パーパス)」として再定義し、社内外に発信することも有効な手段となります。

また、創業者の想いや守りたかったものを、現代の事業環境に合わせて「私たちの会社は何のために存在するのか、未来に何を目指すのか」という形で明確にし、従業員全員が共感できるものにアレンジする必要もあります。

従業員一人ひとりが、意識して取組むことで、会社の文化や絆が強固になり、持続的な成長へと必ず繋がっていきます。






何から手をつければいいか?
どういった順番で取組めばいいか?
応援してほしい・一緒に考えてほしい等
先ずは、お気軽にお話をお聞かせください
下記のブログとサイトからお問い合わせや申込みが可能です ご参照ください



跡継ぎ(後継.二代目)悩み応援サポート那覇ブログ

☞ https://telblob.ti-da.net/

ブログ写真紹介 



社長の愚痴
同続.家族経営の先代社長.二代目社長や後継予定者を含む
「経営者」とその「ご家族」の皆さまへお知らせします
ビジネスやプライベートで気掛かりな事はありませんか?
誰にも話さず抱え込むと精神的にも肉体的にも疲弊します

「話すことで楽になった」との声を数多くいただいております
ストレス解消に! 不安解消に! 現状の善し悪しの判断に!
ZOOM(全国対応)と出張訪問で対応中 お気軽にお問合せ下さい
詳しくはコチラから☞ https://soudan-aite.net/anshin-support

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

上原輝夫
専門家

上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

人と経営を大切にするプロ

上原輝夫プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼