創業者が会社を「我が子」のように

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の二代目社長のお助けコラム

同族.家族経営の会社において、創業者が会社を「我が子」のように捉えることは、一見すると会社への愛情の表れですが、これが結果として信頼よりも不安が勝るケースがあります。以下に、その原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。

原因1.会社と個人の境界線の曖昧さ

創業者が会社を「我が子」と認識するあまり、会社を私物化してしまう傾向が見られます。会社の財産と個人の財産が混同され、個人的な支出が経費として処理されるなど、公私混同が生じやすい環境になります。
これは、客観的な視点から見ると不透明性が高く、社内外からの信頼を損なう原因になります。

原因2.独裁的な意思決定と権限の集中

「我が子」を守るという意識から、創業者が全ての意思決定を掌握し、権限が集中しがちになります。その影響で、多様な意見が取り入れられにくくなり、取締役会が形骸化するなど、会社のチェック機能が機能しなくなる可能性があります。
結果として、経営判断の質の低下を招くリスクがあります。

原因3.感情的な経営判断

「我が子」への愛情が強すぎるため、客観的なデータや合理性よりも感情に基づいた意思決定が優先されることがあります。特に危機的状況においては、冷静な判断が求められる場面で、感情が先行してしまうことで、誤った選択をしてしまう可能性も否定できません。

原因4.感情的な経営判断

「我が子」を他人に経営判断せることへの抵抗感から、後継者の育成が遅れたり、後継者候補が限定されたりすることがあります。これが、社員のモチベーション低下や人材流出にも繋がります。
また、後継者が指名されても、先代との比較や重圧が大きく、後継者自身の不安や孤立感を招きやすくなります。

原因5.従業員への影響

「我が子」への愛情が強いほど、家族以外の従業員が「使用人」のように扱われることがあります。これにより、従業員のモチベーションが低下し、優秀な人材が会社を離れる原因となります

公私混同

改善策1.財務の透明性確保とルール化

会社の公私混同を防ぐための最も重要なステップの一つは、財務の透明性を確保することです。

明確な経費精算ルール:

私的な支出と会社の経費を明確に区別し、客観的なルールに基づいた経費精算システムを導入する必要があります。

定期的な財務報告:

経営状況を内外に定期的に報告し第三者の監査を導入することで、透明性を高めます。

改善策2.信頼できる外部人材の活用

同族経営の閉鎖性を打破するためには、外部の視点を取り入れることが重要です。

社外取締役や顧問の招聘:

客観的な意見を述べ、健全な経営判断を促すことができる社外取締役や顧問を招聘します。第三者は、創業者の「我が子」への感情的な視点とは異なる、客観的な視点を提供し、会社のガバナンス強化に貢献します。

外部コンサルタントの活用:

経営戦略や人事評価制度など、専門的な知識を要する分野で外部コンサルタントを活用し、客観的な評価と改善策を導入します。

改善策3.経営理念と評価制度の明文化

「我が子」に対する愛とは別に、組織としての客観的な基準を設ける必要があります。

経営理念の再構築と浸透:

会社が目指す方向性や価値観を明確にし、全従業員に浸透させることで、一体感を醸成します。創業者の「我が子」に対する思いを、会社の未来への明確なビジョンとして変換し、共有することが重要です。

人事評価制度の導入と透明化:

従業員のモチベーション向上には、公平で透明性のある評価制度が不可欠です。成果や貢献度に基づいた客観的な評価基準を設け、昇進・昇給のプロセスを明確にすることで、家族以外の従業員も努力が報われる機会があることを示します。

改善策4.権限委譲と後継者育成の明確化

長期的な視点で経営を可能にするため、権限の分散と後継者育成の体系化を進めます。

段階的な権限委譲:

創業者が持つ権限を全て抱え込まず、段階的に幹部社員や後継者候補に委譲を進めます。これにより、意思決定のスピードアップが図れるだけでなく、次世代のリーダーを育成することができます。

後継者育成プランの策定:

早期に後継者候補を特定し、計画的な教育・育成プランを策定します。親族以外の優秀な人材も後継者候補として視野に入れることで、選択肢を広げ、適切な人材を育成する機会を確保します。後継者には、先代との比較にとらわれず、自身のスタイルを確立するよう促すことも重要です。

承継する

結びに

同族経営の「最大の強み」は迅速な意思決定が行え、社を挙げて一斉に取り組みができ、効果が見極められることです。柔軟な対応力も大手の会社と違い、即断即決が可能です。
最大の強みを、長期的な視点を維持しつつ、デメリットである閉鎖性や不透明性を解消できれば、外部からの信頼を高めることに必ず繋がっていきます。





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上原輝夫
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上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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