長男だけに経営を任せ家族関係に亀裂が
同族.家族経営の会社において、子(現経営層)間の葛藤が孫世代や兄弟姉妹に波及し、「家業に関わること自体が重荷」になってしまう現象があります。以下に原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。
原因① 家族関係と経営の混同
同族.家族経営では、家族としての役割と会社での役割が混同されやすく、これが葛藤の根源となっています。
例えば、兄弟姉妹間での優劣や、親からの愛情の偏りといった家族内部の感情的な問題が、会社の経営権争い、人事、報酬といったビジネス上の問題に直結しがちです。
家庭での不満が職場に持ち込まれ、逆に職場の問題が家庭に影響を及ぼすという悪循環が生じます。
原因② 所有と経営の一致と「株式」の未整理
同族.家族経営の多くは、所有と経営が一致しているという特徴があります。しかし、相続などを繰り返すうちに株式が分散し、複数の兄弟姉妹や孫世代が株主となることで、議決権を巡る争いが起きやすくなります。
特に、長子(長男)優先などの伝統的な慣習が残る中で、能力ではなく血縁によって立場が決まることへの不満が募り、それが「家業」への重荷となって受け止められることがあります。株式の承継が計画的に行われず、相続時に紛争が顕在化することも少なくありません。
原因③ ファミリーガバナンスの欠如
一般的な企業とは異なり、同族.家族企業にとって「ファミリーガバナンス」の整備が非常に重要です。これは、オーナー家が自らの役割・責任を定義し、組織化し、さらにビジネスとの関わりを定義・組織化する仕組みのことです。
これが欠如していると、家族間の意見対立や不満が表面化しやすく、家族が一体となってビジネスの方向性を決めることが困難になります。特に、問題が顕在化してからでは手遅れになることが多いため、早期に対策を講じる必要があります。
原因④ 「家業」意識と閉鎖性
同族.家族経営は、良くも悪くも「家業」という意識が強く、外部からの視点を受け入れにくい閉鎖的な体質になりがちです。家族間の問題が「内輪の揉め事」として処理され、公私混同が繰り返されることで、透明性が失われます。
このような環境下で育った孫世代は、親世代の争いを間近で見てきた経験から、自身もその渦に巻き込まれることへの抵抗感や、家業に関わること自体が負担だと感じるようになります。
原因⑤ 後継者育成と期待のアンバランス
後継者問題は同族経営における最大の課題の一つですが、子間の葛藤がある中で、適切な後継者育成プロセスが欠如していると、問題はさらに深刻化します。
複数の候補者がいる中で、明確な選定基準がないままに後継者が決まると、選ばれなかった側からの不満が高まります。
また、後継者となった者も、家族の期待を一身に背負い、自身の意思とは関係なく「家業」を継ぐこと自体が重荷になることがあります。
改善策① ファミリーガバナンスの導入とルールの明文化
最も手っ取り早く、かつ効果的なのが「ファミリーガバナンス」の導入とルールの明文化です。
ファミリー憲章の策定:
憲章と云うと壮大すぎてと困惑されたりしますが、掟や家訓のようなイメージです。身近に言うと「他人の連帯保証人には入らない」など経営ので守って欲しい事や、決まり事等の、小さな指針から制定し始めるのも有効です。
家族が一同に会し、会社の理念や将来のビジョン、家族としての行動規範、会社の利益と家族の利益のバランス、株主としての権利と責任、万が一の紛争時の解決方法などを具体的に議論し、「ファミリー憲章」として文書化します。
感情的な対立が起こりやすい家族間の問題を、客観的なルールに基づいて解決する土台を築きます。
ファミリー会議の設置:
定期的に家族会議(ファミリー会議)を設け、会社の経営状況や課題、将来の計画、家族間の意見交換などを非公式かつ建設的な雰囲気で行う場を設けます。この会議では、経営に関する意思決定を行うだけでなく、家族間の絆を深めることも目的としていきます。
第三者(弁護士やコンサルタント)をファシリテーターとして招き、中立的な立場から議論を進行してもらうことで、感情的な対立を防ぎやすくなります。
この会議の中で、株式の承継ルールや、家族が会社に関わる上での条件(例:一定の社外経験必須、学歴要件など)も定めておくことも大切です。
改善策② 経営と所有の分離の促進とコーポレートガバナンスの強化
「攻めのコーポレートガバナンス」を強化することは、同族経営の成長力を大きく左右します。
取締役会の活性化と社外役員の登用:
会社としてのコーポレートガバナンスを強化し、家族の感情に左右されない経営体制を築きます。社外取締役や社外監査役を積極的に登用することで、客観的な視点を取り入れ、経営の透明性を高めます。
取締役会を形骸化させず、実質的な議論が行われる場とすることで、家族間の利害を超えた最適な経営判断が可能になります。これにより、家族が会社の「私物化」に走るリスクを抑制し、経営陣の不正を防ぐことができます。
株式の集約と信託の活用:
分散している株式を集約し、経営に集中できる体制を整えることも重要です。株式信託制度の活用を検討し、議決権を後継者に集中させることで、安定的な経営基盤を確保します。
孫世代が将来的に株式を受け継ぐ際にも、会社経営に直接携わる義務を負うことなく、株主としての利益を享受しやすくなり、「家業」への関わりが重荷ではなくなります。
改善策③ 公正な評価制度と外部人材の活用
血縁による昇進や特別待遇といった不平等をなくし、公正な組織を築くことも重要です。
人事評価制度の再構築:
家族社員と非家族社員の間での不平等をなくし、能力や成果に基づいた客観的な人事評価制度を導入します。これにより、家族という枠を超えて、誰もが公平に評価され、努力が報われる組織文化を醸成します。
外部人材の活用と専門性の尊重:
経営幹部に積極的に非同族の専門家を登用し、その知識や経験を経営に活かします。これにより、家族内部の問題が経営全体に及ぼす影響を最小限に抑え、客観的な視点から組織を運営する力が強化されます。外部の人材が、家族間の緩衝材となることも期待できます。
結びに
これらの対策を講じることで、同族.家族経営の負の側面を最小限に抑え、孫世代が「家業」を重荷ではなく、誇りやチャンスとして捉えられるような、健全で持続可能な組織へと変革していくことが可能になります。
また、早い段階から孫世代を含め、将来家業に関わる可能性がある子供たちと、「家業」についてオープンに対話する機会を設けることも大切です。
それぞれの興味や関心、キャリアパスについて理解を深め、無理に家業を継がせるのではなく、自主的な選択を尊重する姿勢が重要です。
家業に関わらない選択肢も肯定的に捉え、会社と家族双方にとって、最適な道を構築することが出来るので、心理的・感情的な衝突や後悔も軽減され経営も安定しますのでおススメします。
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