先代が権限移譲のタイミングを見誤った
同族.家族経営の会社で、父親が会長、息子が二代目社長という体制において、「どちらの意向を重視すべきか」という社員の迷いから,組織文化が分裂する「ダブルボス」現象は、多くの同族.
家族企業が抱える深刻な課題です。以下に、原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。
原因① 役割・権限・責任の不明確さ
ダブルボス問題の根源は、会長と社長それぞれの役割、権限、責任が明確に定義されていないことにあります。
曖昧な職務分掌:
会長が実質的に社長の業務に口出ししたり、重要事項に関与したりする一方で、正式な職務分掌が制定されていない場合、社員は誰の指示に従うべきか混乱します。
特に、先代社長である会長が会社の創業者であることが多く、長年の経験と実績から「自分の会社」という意識が強く、社長に一任することに抵抗があるケースが散見されます。
経営方針の不一致と従業員への伝達:
会長と社長の間で経営方針や戦略に対する認識のズレがある場合、その不一致が従業員に伝わり、社内での混乱を招きます。例えば、社長が新しい施策を打ち出しても、会長が横やりを入れたり、自分の意向と異なる指示を出したりすることで、従業員は「結局どちらの指示に従えばいいのか」と迷い、業務の停滞や非効率が生じます。
改善策. 職務権限規程の明確化と明文化
最も手っ取り早く、かつ効果的な改善策は、会長と社長の職務権限を明確に定義し、社内に明文化することです。
役割と責任の分離:
会長:
会社の長期的なビジョン、戦略的方向性の策定、大株主としての役割、対外的な重要関係者との関係構築など、戦略的かつ大局的な役割に専念する。日常的な業務執行には関与しないことを明確にする。
社長:
日常の業務執行全般、短期・中期計画の策定と遂行、人事権の行使、組織運営など、具体的な経営の実務と責任を持つ。「意思決定権は社長にある」という原則を徹底する。
文書化と全社員への共有:
定義した職務権限規程は必ず文書化し、役員会での承認を得て、全社員に共有します。「この件は社長(または会長)の管轄であり、最終決定権を持つ」ということを明確にすることで、社員の迷いは少なくなります。
原因② コミュニケーション不足と不信感
会長と社長間の円滑なコミュニケーションが不足している場合、お互いの意図や考えが共有されず、不信感を生むことがあります。
非公式な指示系統:
会長が社長を介さずに直接現場に指示を出す、あるいは、社長が会長の意図を汲み取らずに独断で物事を進めるといった非公式な指示系統が横行すると、組織内の秩序が乱れます。社員は、会長からの指示と社長からの指示の板挟みになり、どちらに従っても一方から不満を買うリスクを抱えることになります。
心理的な要因と世代間のギャップ:
親子関係ゆえの甘えや遠慮、あるいは世代間の価値観のギャップが、率直な意見交換を阻害することがあります。
父親である会長は息子を手放しで信頼しきれず、息子である社長は父親の権威に逆らえないと感じるなど、心理的な障壁がコミュニケーションの不足を生み出します。
改善策. 定期的なコミュニケーションの質の向上
会長と社長の間のコミュニケーションの質を高めることで、相互理解を深め、不必要な隔たりを解消します。
定例会議の仕組み化:
会長と社長が個人的な感情を抜きにして、定期的に経営課題について議論する場を設けます。例えば、週に一度の「経営戦略会議」を設け、アジェンダを設定し、会議の議事録を作成して共有することで、意思決定の透明性を高めます。
会議では、お互いの意見を尊重し、建設的な議論ができるよう努めます。
ワンボイス原則の徹底:
決定した方針や指示は、必ず社長から「ワンボイス」で発信される体制を徹底します。会長が現場に指示を出す場合は、必ず社長を通して行う、もしくは事前に社長と合意形成した内容であることを明確にするといったルールを設けます。
原因③ 組織文化への影響と社員のモチベーション低下
ダブルボス状態は、組織全体のパフォーマンスと社員のモチベーションに悪影響を及ぼします。
思考停止と指示待ちの姿勢:
社員は自ら考えて行動するよりも、「上がどう言うか」を待つ指示待ちの姿勢になりがちです。明確な判断基準がないため、責任を回避するために思考停止に陥り、新たな挑戦や改善提案が生まれにくくなります。
二極化する派閥:
会長派と社長派など、社内で派閥が形成されることもあります。社員は自身の保身のために、どちらかの意向を忖度し、対立が深まることで組織全体の調和が損なわれます。
優秀な人材の流出:
優秀な社員ほど、曖昧な指示系統や不透明な評価に不満を感じ、成長の機会を求めて離職する傾向が高まります。これにより、残った社員の士気がさらに低下するという悪循環に陥ることがあります。
改善策. 第三者による客観的視点の導入
親族関係であるがゆえに感情的なしがらみが発生しやすいため、第三者が介入することで客観的な判断や調整が可能になります。
社外取締役・監査役の登用:
独立した立場である社外取締役や社外監査役を登用することは、ガバナンス強化に繋がります。彼らは、会長と社長の間の調整役として機能し、一方に偏ることなく、会社の利益を最大化する視点から助言や提言を行います。これにより、感情的な対立が経営判断に影響を与えることを防ぎます。
事業承継コンサルタントの活用:
外部のコンサルタントを招き、客観的な視点から組織診断を行い、会長と社長の関係性、責任範囲、コミュニケーションの問題点を洗い出してもらうことも有効です。
コンサルタントがファシリテーターとなり、両者の話し合いを促進し、合意形成をサポートすることで、感情的な対立を避けつつ、建設的な解決策を導き出す手助けができます。
特に、デリケートな親子関係の問題に精通したコンサルタントを選ぶことが重要です。
結びに
これらの改善策は、単独で行うのではなく、複合的に実施することで相乗効果が期待できます。特に、職務権限の明確化と第三者の介入は、迅速かつ効果的にダブルボス問題を解消するための「手っ取り早い」アプローチと言えます。
最終的には、会長と社長がお互いを尊重し、会社の未来のために協力するという強い意思を持つことが成功の鍵になってきます。
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