二代目社長の「自分らしさ」と先代との板挟み

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の二代目社長のお助けコラム

同族.家族経営の会社で、二代目社長が「自分らしさ」を示そうとする中で、創業社長である先代の影響力が根強く残り、悩まされるケースは少なくありません。
この板挟み状態は、単なる個人間の問題ではなく、企業文化・組織設計・心理的な要因が複雑に絡み合った構造的な課題となっています。以下に、原因と改善策を整理していきたいと思います。


原因①:創業者神話の強さと過剰な尊敬構造

創業社長は多くの場合、「ゼロから組織を築いた英雄」として社内外から崇拝されています。その功績は疑う余地はありませんが、結果として社員・取引先・金融機関までもが、“先代の言葉こそが正義”と考えているケースが多く見られます。

その影響を受け、二代目社長の方針に懐疑的な目を向ける風土が自然と形成されていきます。社長就任後も、周囲が「会長の考えも伺ってからにしましょう」と言う構造が、二代目の行動を制限していきます。

改善策:承継のストーリーの再構築とSNS等の発信活用

先代の功績を敬意をもって踏まえたうえで、「時代と市場が変化した今、二代目自らが会社を率いて、新たな価値創造に挑んでいく」ことを社内外に発信する必要があります

これは単なる挨拶文にするのではなく、社長自身のビジョンや哲学や意思をストーリーとして再構築し、SNSや動画やHPや社内報など、多様なメディアで発信することで効果が高くなります。
二代目自身の「色」に、挑戦する勇気や新時代への架け橋として、定義づけしていくことで、社員や取引先の“目線の切り替え”を促すことができます。

やるべきこと

原因②:権限の分散と意思決定ルートの複線化

先代が会長や相談役として残っている場合、経営会議・戦略会議などの意思決定プロセスにおいて「社長・会長のどちらの意見が最終判断なのか」が曖昧になっています。社長が方向性を示しても、会長の反対があると現場が混乱するケースもあります。この複線構造が二代目の思考・実行力を萎縮させる一因になっています。

改善策:意思決定のプロセスと役割分担の制度化

経営権限と最終意思決定者を制度上明文化する必要があります。社長が現経営の最高責任者であることを、定款・社内規程・意思決定プロセスに明記します。
また、会長は「相談役」として経営に一定の距離を置き、社長が必要とした時に助言を行う立場へ変更します。さらに、取締役会や社外役員を活用し、「組織による統治」を強化することで、個人の影響力に依存しない安定した運営基盤が構築できます。

役割分担

原因③:自己実現と家業維持の葛藤

二代目社長は、「自分らしい経営をしたい」という自己実現の欲求と、「家業の伝統や血縁の重み」という継承責任との板挟み状態になりうる立場です。特に、先代の築いたブランドや取引関係を壊してはいけないという心理的抑圧が、変革への意欲を妨げる事態にも発展します。

改善策:“脱・継承者”としてのアイデンティティの確立

二代目自身が、自分を単なる“引き継いだ人”として捉えるのではなく、「未来への牽引者」「家業の再定義人」として位置づけし直すことが大切です。

そのためには、専門家や外部メンターや同世代の経営者との交流を通じて、視野を広げ、“第二創業”という概念に共感を得られようになることで、「家業を引き継ぐ」から「家業を進化させる」へと意識の転換が促されます。

また、先代との対話を定期的に行い、「変革を許す環境」を少しずつ築くことが心理的抵抗を和らげてくれます。

攻め守り

結びに:両者の価値融合が会社を進化させる

この板挟み状態は、葛藤であると同時に、企業進化の“通過儀礼”でもあります。多くの同族.家族経営の会社が通る道です。

創業者の経験と二代目の革新性が交錯することで、会社は「守り」と「攻め」のバランスを持つ組織へと生まれ変わります。大切なのは、二代目自身が「経営者としての覚悟」と「進化への情熱」を持ち、その物語を語り続け、地道に実践することを心掛け積み重ねていくことが肝要になってきます。




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上原輝夫
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上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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