先代が権限移譲のタイミングを見誤った

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の二代目社長のお助けコラム

同族.家族経営の会社において、創業者がいつまでも経営に介入し続けることは、後継者である息子さんの自立を妨げ、組織の意思決定を曖昧にするという深刻な問題を引き起こします。以下に原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。


原因1.創業者の心理的要因:

創業者は、自身の築き上げてきた会社を「自分そのもの」と捉えがちです。そのため、後継者に事業を完全に任せることに抵抗を感じたり、後継者の能力を過小評価したりする傾向があります。
特にカリスマ的な創業者ほど、我が子が未熟に見えてしまうというケースも少なくありません。長年にわたり家庭を顧みずに会社に尽力してきたケースでは、事業承継を後悔することにつながる可能性があります。

原因2.後継者の経験不足と能力への懸念:

創業者が後継者に対して、深い事業経験や知識、経営判断力などに関して不安を抱いている場合、完全に権限を譲渡することを躊躇します。創業者が持つ「過去の成功体験」や「勘」は、時に後継者にとっては理解しにくいものであり、世代間のギャップが生じやすくなります。

原因3.権力の一極集中:

同族.家族の会社では、創業者一族に権力が極端に集中する傾向があります。これにより、創業者の意見が絶対となり、他の意見が通りにくくなったり、組織としての成長が阻害されたりする要因になります。

原因4.コミュニケーション不足:

創業者と後継者の間で、本音のコミュニケーションが不足している場合があります。表面的な会話はあっても、会社の状況や将来に対する深い議論ができていないと、相互の信頼関係が築かれにくく、経営権の委譲がスムーズに進みまなくなります。

原因5.「老老承継」のリスク:

親が高齢になっても経営の主導権を握り続ける「老老承継」は、最も望ましくないパターンの一つとされています。会社の変革や新しい取り組みへの対応が遅れ、競争力を失うリスクが高まります。

老々承継

改善策1.「親族会議」の定期的開催と意識統一

目的:
会社の現状、将来のビジョン、そして後継者への事業承継の意向を、創業者を含む全親族で共有する場として設定します。
内容:
創業者が持つ懸念や後継者の抱える課題をオープンに議論し、会社の課題を親族全体で共有します。ここでは、創業者が会社の舵取りをしてきたことへの感謝を伝えつつ、会社の持続的な発展のためには世代交代が必要不可欠であることを全員で認識することが重要です。
効果:
親族間のコミュニケーションを活性化し、経営に関する共通認識を醸成することで、後継者へのスムーズな権限委譲を促します。

改善策2.後継者への「権限と責任の明確化」と「小さな成功体験の積重ね

具体的な役割の付与:
特定の事業部門や新規プロジェクトなど、後継者が責任を持って遂行できる領域を明確に割り当てます。これにより、後継者自身の意思決定能力を養う機会を与えます。

フィードバックと評価:
後継者の取り組みに対し、定期的に創業者から具体的なフィードバックを行い、適切な評価を与えます。成功体験を積み重ねることで、後継者の自信を育み、創業者の信頼を得ることにもつながります。

効果:
後継者の自立を促し、組織としての意思決定の迅速化に貢献します。

改善策3.「段階的な引継ぎ計画」の策定と実行:

具体的なロードマップの作成:
事業承継を一度に行うのではなく、数年をかけて段階的に権限を委譲するロードマップを作成します。例えば、最初は取締役としての経験を積ませ、その後は事業部長、最終的に社長といったステップを踏む形が有効です。

計画の共有:
この計画を創業者はもちろんのこと、息子さん、そして会社の主要な役員や従業員とも共有します。透明性を持たせることで、組織全体の理解と協力を得やすくなります。

効果:
創業者の不安を軽減し、後継者が着実に経営スキルを習得する期間を設けることで、組織の混乱を最小限に抑えながら事業承継を進めることができます。

改善策4.創業者の「引退後の役割」の明確化:

名誉職や顧問の設置:
創業者が完全に経営から身を引くのではなく、名誉会長や顧問といった形で、会社の発展に貢献できる役割を設置します。ただし、具体的な権限や責任は明確に定め、日々の経営に介入しないように線引きすることが重要です。

新たな活動への推奨:
創業者が経営から離れた後に情熱を傾けられるような、新たな趣味や社会貢献活動などを見つけることを促します。これにより、創業者の心境の変化を促し、会社への執着を健全な形で手放せるようにサポートします。

効果:
創業者が会社の変化を受け入れやすくし、後継者が円滑に経営を進めるための環境を整えます。

承継前

結びに

これらの対策は、一朝一夕に解決するものではなく、「人間と人間との泥臭いぶつかり合い」となることも多くなります。早期に着手し、継続的に取り組むことで、息子さんの自立と、組織の健全な意思決定の土台が築かれていくことに繋がっていきます。







跡継ぎ(後継・二代目)悩み応援サポート那覇

https://soudan-aite.net/

融資サポート那覇

https://soudan-aite.net/bank/




何から手をつければいいか?
どういった順番で取組めばいいか?
応援してほしい・一緒に考えてほしい等
先ずは、お気軽にお話をお聞かせください
下記のブログとサイトからお問い合わせや申込みが可能です ご参照ください





跡継ぎ(後継.二代目)悩み応援サポート那覇ブログ

☞ https://telblob.ti-da.net/

ブログ写真紹介 






社長の愚痴
同続.家族経営の先代社長.二代目社長や後継予定者を含む
「経営者」とその「ご家族」の皆さまへお知らせします
ビジネスやプライベートで気掛かりな事はありませんか?
誰にも話さず抱え込むと精神的にも肉体的にも疲弊します

「話すことで楽になった」との声を数多くいただいております
ストレス解消に! 不安解消に! 現状の善し悪しの判断に!
ZOOM(全国対応)と出張訪問で対応中 お気軽にお問合せ下さい
詳しくはコチラから☞ https://soudan-aite.net/anshin-support

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

上原輝夫
専門家

上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

人と経営を大切にするプロ

上原輝夫プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼