息子への感謝や尊敬が言葉に出来なかった同族.家族経営の父親

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の心理的.感情的な悩み後悔

同族家族経営の会社において、父親が息子に対して「ありがとう」「すごいな」といった感謝や承認の言葉を伝えるタイミングを失い、後になって後悔するケースは少なくありません。

これは、親子という特殊な関係性ゆえに生じる、特有の問題です。以下に、原因と手っ取り早く出来る改善策を整理していきたいと思います。


原因.親子ならではのコミュニケーションの落とし穴

同族家族経営における親子のコミュニケーションは、一般的な上司と部下の関係とは異なり、家庭での親子の延長線上にあるがゆえに、ビジネス上の線引きが曖昧になりがちです。

父親側の心理と期待

父親は息子に対して、いわば「身内」であるため、高い期待を抱きがちです。特に、自分が苦労して築き上げてきた会社だからこそ、「息子であれば、言わずとも理解してくれるだろう」「このくらいできて当たり前」という無意識の前提がある場合があります。

そのため、息子が何かを成し遂げても、それを称賛するよりも「もっとできるはずだ」という視点や、「できて当然のこと」として捉えてしまいがちです。また、家庭での親子関係における「親としての威厳」や「支配欲」が、職場での評価や指導にも影響し、素直に感謝や承認の言葉を伝えにくくしているケースもあります。

褒めることで息子が「増長する」ことを懸念したり、厳しい態度で接することが「教育」だと考えている場合もあったりします。

息子側の心理と欲求不満

息子は、父親から正当な評価や承認を得たいという欲求を強く持っています。
家庭での親子関係に加え、職場では「後継者」という立場であるため、「父親に認められたい」という気持ちがより強くなります。

しかし、父親からの「できて当然」という態度や、具体的な承認の言葉がない状況が続くと、「自分は単なる労働力としてしか見られていない」「頑張っても評価されない」と感じ、モチベーションの低下や不満が蓄積していきます。

この動きが、「自分は単に会社を継ぐための存在」という感覚につながることもあります。息子が期待しているのは、具体的な成果に対する感謝や称賛だけでなく、自身の存在価値や努力を認めてもらうことです。

「言わなくてもわかるだろう」という誤解

長年一緒に働く中で、「言わなくても伝わる」という関係性が形成されやすいのも、同族家族経営の特徴です。
しかし、これは多くの場合、一方的な思い込みに過ぎません。言葉にしない限り、相手に意図が正確に伝わることは稀です。
特に、感謝や承認といったポジティブな感情は、意識的に言葉にして初めて相手に届くものです。過去の成功体験から「これで大丈夫」と判断してしまう親と、「もっと認めてほしい」と感じる子の間で、大きな認識のズレが生じてしまいます。

親子経営会社前

改善策.1「意識的なポジティブフィードバック」の導入

1. 具体的な「ありがとう」を即座に伝える

息子が何か手伝ってくれた時、あるいは成果を出した時に、どんなに些細なことでも構いません。

「〇〇(具体的な行動)をしてくれてありがとう」「▲▲(具体的な成果)は本当に助かった、ありがとう」と、具体的に何に対して感謝しているのかを添えて、その場で伝えることを習慣化しましょう。

日常のルーティン業務であっても、改めて感謝を伝えることで、息子は自分の仕事が認められていると感じられます。

2. 「すごい」「よくやった」を形にする

息子が困難な課題を乗り越えたり、新たな提案で良い結果を出したりした時には、「すごいな」「よくやった!」と直接的に称賛の言葉を伝えましょう。

さらに、可能であれば、その成果を他の社員の前で簡潔に紹介し、息子を誇りに思う気持ちを表現すると、より効果的です。これにより、息子は自分の能力が認められたと感じ、自信を深めることができます。



改善策2.「定期的な短時間ミーティング」の設定

1. ビジネスの顔で向き合う「5分ミーティング」

週に一度、あるいは毎日でも良いので、5分程度の短い時間を設け、仕事の話だけをする「ビジネスミーティング」を設定しましょう。これは、家庭での延長線上ではない、あくまで「経営者と後継者」としての関係性を意識するためのものです。

その場で、直近の業務の進捗確認や、今後の簡単なタスクの共有を行います。この短い時間でも、息子が何か工夫した点や努力した点があれば、上記のようなポジティブな声がけを意識的に行うようにします。

2. 未来を語る「非公式な対話」の機会

形式張らない食事の場や、コーヒーブレイクの際に、会社の将来の夢やビジョン、あるいは過去の苦労話を雑談として語りかける機会を意識的に作りましょう。

父親の「想い」が自然な形で息子に伝わり、息子も「自分は会社を継ぐだけの存在ではない、会社の未来を担う存在だ」と意識できるようになります。この時、息子が話すことにも耳を傾け、彼の意見やアイデアにも価値があることを示しましょう。

親が認める

改善策3.「外部の視点」の活用

1. 外部の専門家を巻き込む

事業承継のコンサルタントや、顧問税理士・弁護士など、親子双方と接点のある外部の専門家を巻き込むことも有効です。
彼らは客観的な第三者の視点を提供し、親子間のコミュニケーションの橋渡し役を担うことができます。

特に、父親が息子に直接伝えにくいことや、息子が父親に言いにくいことを、専門家を通して伝えることで、スムーズな情報交換が期待できます。

2. 定期的な社員面談の実施

これは手っ取り早い改善策とは少し異なりますが、息子を交えた社員面談を定期的に実施することも有効です。

この場で、息子が社員からどのような評価を受けているか、どのような貢献をしているかを聞くことで、父親は息子の功績を客観的に認識するきっかけになります。
また、息子も社員からの評価や期待を知ることで、責任感とモチベーションを高めることができます。

第三者

結びに

これらの改善策は、決して難しいことではありません。日々の意識と、わずかな時間の投資で実践できるものです。しかし、その小さな積み重ねが、親子の関係性を大きく改善し、会社の未来をより確かなものへと導いていきます。




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上原輝夫
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上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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