○台風による窓ガラスの破損 その負担割合は?○

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:不動産トラブル

善管注意義務


●修理費の負担割合

(事例)
入居者Aさん。先日の台風で、近所の屋根瓦が飛んできて、私が借りているアパートの窓ガラスが割れてしまいました。管理業者に修理を依頼したところ、台風という天災のため、家主には責任がない、よって入居者の負担であるといわれました。
私が負担しなければならないのでしょうか?

このような主張をする管理業者は存在しないと思いますが。

ガラスの破損は天災によるもので、家主・入居者いずれの責任でもありません。よって原則として家主の費用負担となりそうです。

有償で建物を賃貸している家主は、入居者が目的に沿う使用ができる状態を維持しなければなりません。家主は賃料を受取り入居者に生活の場を提供するので、それができない状態になったときは、家主の負担で修繕する義務を負うと考えられています。

ただし、入居者は、借りている間、定められた用法に従って使用し、他人の所有物として注意をもって借室を維持・管理しなければならない保管(善管注意)義務を負っています。

入居者がこの保管義務に違反し、故意・過失により借室に汚損・破損等の損害を与えた場合には、損害についての賠償義務を負う可能性もあります。

従って、ガラスが割れたことについて入居者に善管注意義務違反がないときは、その修理費用は家主の負担と考えられています。

しかし、当該アパートの窓に雨戸等が設置されている場合、台風にもかかわらず入居者がその雨戸を閉めておらず、そのことでガラスが破損した場合などでは、入居者の善管注意義務違反が認められ、ガラスの修理費用の全額・一部は入居者の負担となる可能性もあるのかと思います。


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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

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