給湯器の故障とお風呂代の請求。
既存不適格建築物
(事例)
●買主の主張
10年前に宅地建物取引業者の媒介により、建物の床面積が150㎡ある中古一戸建
を購入した買主が、同じ大きさの建物に建て替えようと思い住宅会社に相談したところ、
「現在の法律では、130㎡程度のものしか建てられない」といわれた。媒介業者の重要
事項説明では、現在の建物の大きさは建てられないとの説明はなかった。
重要事項説明義務違反である。
●媒介業者の主張
既存不適格建築物ではあるが、違反建築物ではないので説明はしなかった。しかし
、法令上の制限において現在の容積率は説明しているので、責任はない。
(考え方と対処)
「既存不適格建築物」とは、建築時には建築基準法その他の法令や条例の規定等に
適合し、適法に建てられた建築物が、その後の法律等の改正により、当該建築物の
全体又は一部が、現行の法律に適合しない状態になっているものをいいます。
この既存不適格建築物は、違反建築物ではありませんので、建築時のままで継続して
使用することができます。
なお、既存建築物の増築等を行う場合は、原則として既存の部分を含めて建物全体
を適法な状態にする必要がありますが、一定の条件のもとに制限が緩和されます。
しかし、建替えにより新しい建物を建築する場合は、現行の建築基準法等に適合した
建物でなければいけません。
取引の対象物件が、「既存不適合建築物」の場合は、重要事項説明において、その
内容を具体的に記載・説明することが重要となります。
媒介業者が買主から近い将来、建物の建替え計画を告げられていた場合には、媒介
業者は、建築可能な建物の規模について具体的な説明をするべきです。
しかし、(事例)では、容積率等の法令上の制限について説明していますので、直ちに
説明義務違反とはいえないように思います。
ただし、現行の建物より小さな建物しか建てられないことは、買主にとっては不利益と
なりますので、説明が少し足りなかったかもしれません。
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