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ホスピタリティを生み出す「三配り」とは?    ― 目配り・気配り・心配りで、「気づく人」から「行動できる人」へ ―

長澤さおり

長澤さおり

テーマ:ホスピタリティ 接遇力向上 接客に携わる

ホスピタリティを生み出す「三配り」とは?

― 目配り・気配り・心配りで、「気づく人」から「行動できる人」へ ―
ホスピタリティ&マナー・ラボ代表
ホスピタリティコンサルタントの長澤さおりでございます。

「ホスピタリティを大切にしましょう」
研修や接遇の場では、よく耳にする言葉です。
しかし、
「では、ホスピタリティのある行動とは、具体的にどのようなことでしょうか?」
と聞かれると、少し難しく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

前回のコラムでは、
「愛の反対は何でしょう?」という問いから、
「愛の反対は憎しみ」と「愛の反対は無関心」
という二つの視点について考えました。
そして私は、
ホスピタリティの原点の一つは、相手の存在に気づき、関心を寄せることにあると考えています。
ぜひ、前回のコラムもあわせてご覧いただければ幸いです。
https://mbp-japan.com/okayama/nagasawa-s/column/5232177

今回のコラムでは、
その「気づき」を、どのように具体的な行動へつなげていくのか。
その基本として、私が接遇研修で大切にしている、
「目配り・気配り・心配り」
という「三配り」について考えてみたいと思います。

ホスピタリティは「気づく」ことから始まる

ホスピタリティという言葉については、前回のコラムでも詳しくお伝えしましたので、ここでは割愛いたします。
今回、ぜひ考えていただきたいのは、
「相手に気づくことができているだろうか?」
ということです。
どれだけ相手を思いやる気持ちがあっても、目の前にいる人の存在や変化に気づかなければ、行動にはつながりません。
そこで大切になるのが、目配り・気配り・心配りです。

私は、目配り・気配り・心配りは、
ホスピタリティを具体的な行動に変えていくための大切な考え方だと捉えています。

①目配り=観察する
②気配り=想像する
③心配り=行動する


という流れで捉えています。
つまり、見る → 考える → 動くということです。

目配りとは、「相手の存在に気づき、関心を寄せる」こと

まずは「目配り」です。
目配りというと、「周囲をよく見ること」と考える方が多いかもしれません。
もちろん、それも大切です。
しかし私は、それだけではないと考えています。

そもそも、相手の存在に気づいているか。
そして、その人に関心を寄せているか。


ここが、目配りの出発点です。
前回のコラムで、「無関心」について考えました。
相手がそこにいることに気づかない。
気づいていても、自分には関係ないと思う。
それでは、ホスピタリティにつながることはありません。
だからこそ、まずは、
「この方がいらっしゃる」
「何かいつもと違うところはないかな?」
「困っていることはないかな?」
と、相手に意識を向けることが大切なのです。

「見る」のではなく、「気づく」

目配りとは、ただ視線を動かすことではありません。
相手の存在を認識し、表情や様子、周囲の状況などに目と心を向けることです。
例えば、

  • いつもより表情が暗い
  • 何かを探しているように周囲を見回している
  • 何度も時計を確認している
  • 説明を聞きながら不安そうな表情をしている
  • 荷物をたくさん持っている
  • いつもと様子が違う

いつもより表情が暗い
何かを探しているように周囲を見回している
何度も時計を確認している
説明を聞きながら不安そうな表情をしている
荷物をたくさん持っている
いつもと様子が違う
こうした小さな変化に気づくことが、目配りです。
そのためには、視野を広く持つことも大切です。

以前、サービスの健康診断(覆面調査)で訪れたクリニックでのことです。
受付のスタッフは一生懸命にパソコン入力をされていましたが、
カウンター前に立っている私に気づいてくれません。
私から、「あの~、初めてなのですが」と声をかけました。
一生懸命に仕事をされていることは分かります。
それでも、こちらから声をかけなければ気づいてもらえなかったことに、少し寂しさを感じました。

目の前の仕事に集中することも大切です。
ですが、少し視野を広げて、
「自分の周りで、今、何が起きているのだろう?」
と意識するだけで、見えるものは変わってきます。

目配りの第一歩は、顔を上げて、相手の存在に気づき、関心を寄せること。
そして、そこから「何か変わったところはないか」と状況に目を向けることなのです。

気配りとは、「相手の立場を想像する」こと

目配りによって、相手の存在や状況に気づいたら、次は「気配り」です。
気配りとは、
「この人は、今、何を感じているのだろう?」
「何を必要としているのだろう?」

と、相手の立場に立って考えることです。

以前、サービスの健康診断(覆面調査)で、300床ほどの総合病院を訪れたときのことです。

訪れる診療科の場所が分からず、私は壁に掲示された案内図を見ていました。
その後を、何名かのメディカルスタッフが通り過ぎていきましたが、
声をかけられることは無く、物寂しさを感じました。

ここで、
「初めて来られた方なのかもしれない」
「どこへ行けばよいのか分からず、困っているのかもしれない」
「不安に感じているのかもしれない」
と、相手の立場を想像する。

これが「気配り」です。

気配りには、想像力が必要です。
目の前に起きていることだけを見るのではなく、
「相手は今、どんな気持ちなのだろう?」
「この先、何が必要になるのだろう?」
と考えてみる。

ただし、「きっと分かるだろう」と決めつけるのではありません。

「スタッフには声をかけづらいと思っていらっしゃるかもしれない」
と、相手の立場に思いを巡らせる。
それが、次の「心配り」につながっていくのです。

心配りとは、「思いを行動に変える」こと

そして三つ目が「心配り」です。
私は、この「心配り」がとても大切だと考えています。
なぜなら、
思っているだけでは、相手には伝わらないからです。

ここで、私がANAの客室乗務員時代に経験した、忘れられない出来事をご紹介します。

ANA客室乗務員時代に学んだ「心配り」―まずは行動してみる

あるフライトで、お食事の後にお薬の袋を開けていらっしゃる男性のお客様がいらっしゃいました。
私は、
「お薬を飲まれるのだな」
と気づき、
「きっと冷たいお水より、少しぬるめのお水のほうがお薬を飲みやすいだろう」
と考えました。
そして、ぬるめのお水をお持ちし、
「どうぞ、お薬用にぬるめのお水をお持ちいたしました」
と、少し自信満々にお渡ししました。

すると、そのお客様、
「ああ~、僕はね、お薬も冷たい水で飲むんだよ」
とおっしゃったのです。
「あ、失礼いたしました。冷たいお水をお持ちしますね」
と申し上げると、
「いいよ、いいよ。このお水で飲むから大丈夫」
と笑って、そのままお薬をお飲みになりました。

そして、降機される際、そのお客様は私の目を見て、にこやかに、
「ありがとう」
とおっしゃってくださいました。

私は、この経験から、ホスピタリティには必ずしも正解があるわけではないということを学びました。

相手を思って行動しても、必ずしも自分が想像した通りになるとは限りません。
だからこそ、トライアンドエラーを繰り返すことが大切なのだと思います。
「こうしたら喜んでいただけるかもしれない」
そう考えて、一歩行動してみる。

そして、相手の反応から学び、次の行動につなげていく。

その積み重ねが、少しずつ経験となり、
自分自身のホスピタリティの引き出しになっていくのではないでしょうか。

このときの私は、結果として「正解」を出せたわけではありません。
それでも、相手を思いやり起こした行動そのものは、お客様に届いたのではないでしょうか。
最後にいただいた、にこやかな笑顔と「ありがとう」という言葉に、そう感じたことを今でも覚えています。

心配りは、完璧な答えを出すことではない

だからこそ私は、
「思っているだけではなく、まず一歩、行動してみること」
を大切にしています。

心配りとは、完璧な答えを出すことではありません。
相手を思い、自分にできることを考え、まず行動してみる。
その経験を積み重ねることが、ホスピタリティを育てていくのだと思います。

三配りは、接客だけのものではない

「目配り・気配り・心配り」というと、お客様への接遇をイメージする方も多いかもしれません。
ですが、私はこの考え方は、職場の人間関係にも、そのまま活かせる
と思っています。
例えば、上司が部下に対して、
目配り
「最近、いつもより元気がないな」
と気づく。
気配り
「仕事が重なって大変なのかもしれない」
と想像する。
心配り
「何か困っていることはない? 手伝えることがあれば言ってください」
と声をかける。
これも、立派なホスピタリティ
です。
ホスピタリティは、お客様だけに向けるものではありません。
一緒に働く仲間にも、相手を思いやる心と行動を向ける。
その積み重ねが、信頼関係のある、心理的安全性の高い、ハラスメントを防げる職場づくりにもつながっていきます。

「気が利く人」は、特別な人ではない

「私は気が利かないから、ホスピタリティは苦手です」
そのようなお声を研修をご受講の方から聞くことがあります。

ですが、私はそうは思いません。
目配り・気配り・心配りは、持って生まれた才能だけで決まるものではありません。

「見る」ことを意識する。
「相手はどう感じているだろう?」と考える。
「自分にできることはないか?」と動いてみる。
この繰り返しによって、少しずつ身についていくものです。

だからこそ、ホスピタリティは、
「センスのある人だけができるもの」ではありません。
意識すれば、誰でも実践できるものなのです。

「気づく」ことから、一歩先へ

「目配り・気配り・心配り」。
この三つを意識することで、
日々の何気ない場面にも、
相手への思いやりを行動に移すきっかけが生まれます。
大切なのは、特別なことをすることではありません。

目の前の人に関心を寄せ、小さな変化に気づき、できることを一つ実践する。

その積み重ねが、信頼される人、そして選ばれる組織につながっていくのだと思います。

私はこれからも、研修やコンサルティングを通して、
人と人との心が通い合う、あたたかな職場づくり、組織づくりを支えてまいります。

「よろこんでもらうよろこび」を原点に。

人と人との心が通い合う、あたたかな社会づくりに貢献してまいります。

研修内容や実績につきましては、ホームページでもご紹介しております。よろしければぜひご覧ください。
http://www.hospitality-m-l.com/



*画像はAI生成イメージです

ホスピタリティ&マナー・ラボでは、企業・医療機関・福祉施設・学校・自治体などを対象に、ホスピタリティ研修、接遇研修、ビジネスマナー研修、コミュニケーション研修、ホスピタリティコンサルティングなどを行っております。
詳しくは、ホスピタリティ&マナー・ラボ公式サイトをご覧ください。

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専門家

長澤さおり(マナーコンサルティング)

ホスピタリティ&マナー・ラボ

元CA(キャビンアテンダント)の「おもてなし接客マナーを伝え、お客様、患者様満足度の向上を目指します。スタッフが働く喜びを感じられる「人財」となり、イキイキ元気に働ける「組織創り」へとつなげます。

長澤さおりプロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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