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不動産賃貸業の法人成について 2

2018年6月27日 公開 / 2020年1月6日更新

テーマ:個人税務

コラムカテゴリ:ビジネス

不動産賃貸業の法人成について 
~個人と法人、どちらが得か?~

(3)相続税の節税が図れ、承継がスムーズに
個人事業では、収入が増えると財産が増え、結果的に相続税の増加につながります。
しかし、法人成りして親族に給与を支払えば、結果的に生前贈与と同じ効果を生むことになります。
アパートを相続する場合、その手続きはかなり煩雑になります。まず、各戸の入居者一人一人と賃貸借契約の変更をしなければなりません(ただし、一括借上げの場合、管理会社との契約の手続きだけで済みます)。
そして、相続の手続きが完了するまで銀行口座が凍結されてしまい、相続発生後の家賃の振り込みができないなどの事態が生じることがあります。それに対応するには、相続人の共同名義の口座をつくり、そこに振り込んでもらうなど、事務処理が必要になります。
法人の場合、賃貸借契約は法人との契約になっていますから、変更は不要になります。家賃は会社名義の口座に振り込まれるので、凍結されることはありません。
また、個人所有のアパートを複数の相続人に相続する場合、誰がそのアパートを相続するか、遺産分割でもめてしまうことがあります。共有資産として相続することもできますが、将来の運用を考えると、共有はトラブルになりがちなのでよくありません。
法人成りすれば、相続資産は株式になりますが、法人設立時に株主を相続人にしておけば、相続の時の手続きも必要ありません。

2 法人成りのデメリット
(1)株式会社の設立時には、定款作成費用や登録免許税など、およそ20万円~24万円の設立費用(司法書士などへの手数料も別途かかります。)が必要となります。
(2)税理士報酬等も必要となります。
(3)社会保険料として法人の場合は、個人と違い、代表者に給与を支給している場合には、原則協会けんぽ・厚生年金に加入する義務があります。今まで国民健康保険・国民年金に加入していた方も加入義務が発生します。
(4)代表者が兼業禁止のサラリーマンの場合
個人の場合は、不動産所得として確定申告をしており、住民税の請求も給与と分けて(普通徴収で)請求をしてもらえるので、勤務先に不動産所得があることは分かりませんが、役員報酬を受け取った場合、その分の住民税は原則として、勤務先の給与と合算で(特別徴収で)請求されることになります。元々給与所得は勤務先から特別徴収をすることになっていますが、近年各市町村で特別徴収を徹底するようになっています。
(5)相続税対策にならない場合もある
例えば、建設費のローンがある場合、個人はそのローンがマイナス資産になるので、相続資産の圧縮につながりますが、法人の場合は、ローンがあってもマイナス評価とはならず、株式評価(マイナスの場合は0円)になりますので、対策効果に大きな差が生じます。

3 個人事業者と法人との比較

種   別      個人青色申告    法人
青色控除前所得金額    6,650,000円    6,650,000円
青色申告特別控除      650,000円      0円
役員報酬          0円     3,650,000円
所得金額     6,000,000円    3,000,000円
法人税等      0円      744,800円
確定申告所得税    513,000円         0円
給与源泉所得税      0円      52,400円
個人住民税・事業税    662,000円     112,800円
社会保険料        970,000円     1,095,000円
合計公租公課      2,145,000円     2,005,000円

(前提条件)
 社会保険料の内訳
 個人 国民年金(年額約20万円) 
    国民健康保険 77万円(40-64歳で世帯上限額を想定)
 法人 年間給与の15%を個人負担、15%を法人負担とし、合計30%として
    計算をしています。
 所得税の計算上、社会保険料以外には基礎控除のみ算入しております。

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