不動産賃貸業の法人成について 1
小規模企業共済制度について
1 掛金支出時のメリット
掛金は月額1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択でき、1年間に払い込んだ掛金は、その全額が所得税と住民税の計算上、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となります。
全額所得控除ということは、普通に貯金する場合には税金を引かれた後の残額を積み立てることになりますが、この制度で積み立てれば税金を引かれる前に積み立てることが可能になるということです。ここがこの制度の大きなメリットになります。課税所得に応じ、所得税と住民税を合わせて掛金支払額の15%から55%が節税となります。
月額上限いっぱいの7万円積み立てた場合の節税額は以下の通りになります。
課税所得/所得税と住民税の節税額合計
600万円/255,600円
400万円/241,300円
200万円/129,400円
2 共済金受取時のメリット
メリットは掛金支払時だけではありません、共済金を受取時にもメリットがあります。受取方法は一括または分割での受取を選択できます。
一括で受け取る場合には所得税の計算上退職所得の扱い、分割で受け取る場合には公的年金等の雑所得扱いになり、給与所得と比べ課税額を抑えることができます。
3 契約者貸付について
掛金は通常、役員の退職、個人事業の廃業など伴い受け取ることになります。しかし退職前までに運転資金など資金が必要になった場合は掛金納付月数により、掛金の7割~9割の範囲を限度に契約者貸付により借入を受けることができます。
4 相続税対策にもおすすめ!
例えば共済金を受け取る前に加入者が死亡した場合はどうなるのでしょうか。その場合は遺族の方に共済金が支払われることになり、共済金は死亡退職金として相続税の申告に含める必要があります。(つまり所得税等は課税されません。)
では、なぜ相続税対策になるのでしょうか?死亡退職金は相続税の申告の際、以下の額の非課税枠が設けられています。
500万円×法定相続人の数
このため、共済金が非課税枠の範囲内であれば、この死亡退職金については、相続税が課税されない結果となります。
以前、死亡退職金の非課税枠の縮小が検討されたこともあり、この非課税枠がこのまま維持されるとは限りませんが、1つの手法で所得税、住民税、相続税の対策、または相続税の納税資金の準備までできる小規模企業共済制度はとても有効な節税手段となっています。
泉田会計事務所では小規模企業共済制度の加入手続きを行っております。加入を検討されている方、その内容を詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。