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コロナ禍時代の知的財産 -6-

下田茂

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テーマ:知的財産

 オリンピック/パラリンピックが始まりました。オリンピック関係者のコロナ感染者も連日のように報道されており、世界中がパンデミックの渦中にあることを、改めて思い知らされます。特に何事もなく終わった長野オリンピックが懐かしく感じます。
 さて、今回もニュースのピックアップになります。先日のWebニュースに、2021年の「特許行政年次報告書」が特許庁から公表された記事が載っていました。
 この記事によれば、「20年の国内の中小企業の特許出願件数は3万9789件で全体の17.5%を占め、コロナ禍にもかかわらず件数と比率が増加傾向にある」(7月22日付日刊工業新聞Web版ニュースイッチより)という内容が掲載されていました。
 何年か前は12%程度であったことを記憶していますので目に見えて増えていると言えます。実際、現場感覚でも中小企業の特許出願が増えているのではということを感じています。
 また、ニュース記事によれば、「コロナ禍にもかかわらず…」と前置きし、「中小企業の特許戦略」や「制度拡充」が出願の増加に功を奏したのではと分析しています。
 確かに、このような側面もあるかと思いますが、むしろ、私は「コロナ禍であるからこそ…」出願の増加につながっているのではと思っています。
 「コロナ禍」ゆえに、例えば、「感染防止」の観点から“新しい手段”が必要になります。一例を上げれば、「マスク」,「洗浄」,「仕切り板」,「温度計」等の感染を防止するための新しいツールが必要になります。
 まさに“必要は発明の母”です。この中で、例えば、「洗浄」をキーワードに考えた場合、「洗浄液」という直接的な商品に加え、「洗浄液を足の操作により吐出する器具」や「手を自動で検知して噴射する器具」などの関連商品のニーズが高まります。これらの器具は、最近、ほとんどのお店の出入口で目にするようになりました。
 そして、このような未知数の変動期では、中小企業の方が商品化に有利になる思います。多くの中小企業では、社長の一声で物事が動き、製品化も決定されます。これに対して、大企業では、何段階も経て稟議を取る必要があり時間がかかるとともに、量産性や利益率等の様々なハードルをクリアする必要があるため、最終的にボツになるケースも少なくないと思います。
 「洗浄薬」や「温度計」等の基礎的な「商品」は、品質及び性能等が要求されるため、ブランド力のある大企業の方が有利かもしれませんが、上記のような理由により、「関連商品」の場合は、むしろ中小企業の方が得意分野になろうかと思います。

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専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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