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下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

特許侵害企業への立入調査

2019年2月16日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:ニュース

コラムカテゴリ:法律関連

 先月(1月27日付)のWebユュース(NHK NEWS WEB)に、「知的財産の保護を強化しようと特許庁は、特許を侵害したと疑われる企業に対し、専門家(弁理士,弁護士)が立ち入り調査を行うことができる新たな仕組みを導入する方針を決めた」とする記事が掲載されていました。
 この仕組みが導入されれば、いわゆるプロパテント(特許重視)の施策がより進むことになります。
 特許には、大きく分けたカテゴリーとして、「物」の特許と「方法」の特許があり、さらに、「方法」の特許には、「単純方法」の特許と「製造方法」の特許があります。
 平たく言えば、
 (a) 「物」の特許は、字のとおり、機械,電気製品,日用品などの「物」が対象になります。
 (b) 「方法」の特許は、最初にAを行い、この後、Bを行うなど、時間的な流れを伴う方法などが対象になります。
  (b-1) 「単純方法」は、例えば「高さの測定方法」などの生産物を伴わない方法が対象になります。
  (b-2) 「製造方法」は、例えば「お菓子の製造方法」などの生産物を伴う方法が対象になります。
 一方、特許侵害になるか否かは、自分(自社)が所有する特許と同じアイデアを実施しているか否かが問題になるため、特許権者等は、特許侵害を見つけた場合、自分のアイデアと同じであることを立証する必要があります。
 このため、例えば「日用品」の特許であれば、その商品を購入すれば直ぐにわかるため立証は比較的容易です。
 これに対して、「方法」の特許は、この立証が容易ではありません。例えば「お菓子の製造方法」の場合、製造は工場等の内部で実施されるため、製造された「お菓子」を見ても、その「お菓子」が特許による方法を用いて製造されたものか否かを立証することは事実上困難になります。もし、それを確認しようとして敷地内に入ろうものなら不法侵入により返って訴えられてしまいます。
 結局、今までは、「方法」の特許、特に「製造方法」の特許の場合、他人(他社)に真似されたとしても、特許の効力を行使する観点からは「物」の特許よりも弱い側面がありました。
 今回のニュースのような仕組みが導入されれば、工場等に立ち入りることにより、製造工程を確認したり、製造仕様書を確保するなどにより、製造方法の確認ができるようになるため、「製造方法」の特許であっても「物」の特許と同様に立証が容易になります。
 このような考え方は、プロパテントの考え方に沿うものであり、特許を取得する観点からは、より望ましい傾向にあると思っています。

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