マイベストプロ信州
下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

サービス業と知的財産権(3)

2018年11月24日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

 サービス業におけるお店や施設等の名称は、そのイメージ、更には、お客さんに対する吸引力に影響する重要な商標となります。
 サービス業は、サービスを業務とするため、製品の製造を業務とする製造業とは異なり、自社の製品はほとんど存在しません。他社の商品を販売することが業務となります。
 製造業の場合には、いろいろな商品が存在するため、例えば、ユニークなネーミングを商品に付け、それがヒット商品につながれば、会社の業績に大きく貢献します。例えば、伊藤園がお茶のネーミングを「煎茶」から「お~いお茶」(下図)に変更したら、次の年に売上が6倍ほど伸びたエピソードは有名です。

 このような商品のネーミングや図形等は、商標(トレードマーク)として登録すれば、商標権として保護されるため、他人が同一(類似)の商標を使用することを排除できますし、商品のイメージアップ、更に、会社の信用力向上にも貢献します。
 したがって、反対に、他人の商標権を侵害した場合、自己の商品では使用できなくなります。しかし、この場合、使用できなくなるのは一つの商品に留まり、他の商品に影響を与えることはほとんどありません。
 一方、サービス業の場合、商品はほとんど存在しないため、商標権についての認識はあまり持っていないかもしれませんが、お店や施設等の名称も、商標(サービスマーク)として登録することができます。サービス業で使用するサービスマークも、商品に使用するトレードマークと同じ商標になります。そして、サービス業にとって、商標権は、むしろ製造業における商品の場合よりも重要になると思います。
 つまり、お店や施設等の名称は、そのお店や施設等にとって唯一の名称となり、業務を継続する以上、その名称は付いてまわります。
 以前、上海で、日本の温泉宿泊施設と同じ名称の「大江戸温泉物語」がオープンするということで話題になりました。
 仮に、この「大江戸温泉物語」の第三者の使用が商標権の侵害であった場合、その施設全体が影響を受けることになります。また、規模が大きくなった場合、商品の場合よりも更に深刻になります。ちなみに、本家本元の「大江戸温泉物語」は、少なくとも日本においては商標登録されています(下図)。

 今の時代、インターネットが世界的規模で普及しているため、ほとんどのビジネスがインターネットと結び付いています。“地方の一店舗”で営業しているから大丈夫だろう、という考えは通用しません。
 したがって、お店や施設等の名称も、いわば保険をかける意味からも商標権として確立し、現在及び未来に対するリスクに備えることが重要になってきます。

この記事を書いたプロ

下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(みらい国際特許事務所 長野オフィス)

Share

関連するコラム

下田茂プロへの
お問い合わせ

マイベストプロを見た
と言うとスムーズです

お電話での
お問い合わせ
026-228-3828

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

下田茂

みらい国際特許事務所 長野オフィス

担当下田茂(しもだしげる)

地図・アクセス

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ信州
  3. 長野の法律関連
  4. 長野の特許・商標・知財
  5. 下田茂
  6. コラム一覧
  7. サービス業と知的財産権(3)

© My Best Pro