知財雑感 … コスト競争の末路
昨日のWebニュースに、【A】USJが個人所有の商標権「BELLO」を侵害している記事がアップされていました。また、少し前ですが、【B】小池百合子代表が「希望の党」の名称を既に商標登録しているニュースがありました。さらに、【C】「立憲民主党」の名称について、既に第三者により商標登録出願されていたニュースもありました。
【A】は、USJが販売するミニオンの関連商品が、個人の所有する商標権を侵害するとして、商標権の所有者が、USJに対し、販売の差し止めと1500万円の損害賠償を求めて裁判を起こしたニュースです。
記事の内容を見る限り、USJは、商標権を侵害する可能性が高いと判断できます。USJの主張はやや的を外れており、全面的に争う理由がわかりません。裁判まで発展する前に和解などの対応ができたように感じます。
もし、USJが負けたとすれば、商標権者に対し、既に販売した商品に対する損害賠償を支払わなければならないとともに、今後、商標を付した関連商品を販売できなくなったりロイヤリティ(使用料)を支払って販売する必要があるなど、かなりの損失が予想されます。
このように、「商標権」は、事例によっては★財産★としての相応の価値を持つことになります。
【B】は、小池百合子代表が、今後、使用する可能性がある党名を既に登録してあったというニュースです。
出願は今年の2月ですので、この時点で、自分がいずれ新党を立ち上げる計画(予定)をしていたことになります。商標は、使用していなくても将来的に使用する可能性のある名称等は事前に登録することができます。
このように、「商標権」は、後でトラブルに巻き込まれないよう事前に登録しておく★保険★としての機能も持っています。
【C】は、枝野氏が付けた党名について、既に某会社が出願していたというニュースです。
「立憲民主」という言葉は、広辞苑にも載っていない造語ともいえる言葉ですが、某会社が利益を目的に出願しているとすれば、「立憲民主党」の立ち上げを事前に予言(予測)していたことにもなり、ある意味、関心してしまいます。
この会社が同名の政党を立ち上げるとは思えないため、枝野氏による立憲民主党の使用が制約されることはないと思いますが、もし、同様のことがビジネスシーンで発生した場合は無視できない問題となります。つまり、考えた上での商標により看板や印刷物などを用意したにも拘わらず、既に、他人が登録していたとすれば、全てがパーになり、ふりだしに戻ることにもなり兼ねません。これでは、コスト面やメンタル面などにおいて相当なダメージを受けてしまいます。
このように、「商標権」は、自己のビジネスを他人の権利から守る★防衛★の観点からも重要な価値を持っています。
以上の三つのケースを見ても、たかが商標されど商標です。特に、ビジネスを展開する場合、使用する商標(ネーミング,マスコット等)について、一歩間違えば大変な事態に巻き込まれることにもなり、真剣かつ慎重に対処するに越したことはありません。