知財雑感 … 「IoT」関連発明と特許
最近、新聞(ニュース)を見ても、「AI」や「IoT」など、時代を背景にした言葉が目に付きます。
「AI(人工知能)」,「IoT(物のインターネット)」及び「ビッグデータ」の三要素が最低限組合わされば、循環サイクルによる学習効果が加速し、処理技術などは量的にも質的にも二乗カーブ的に進歩するのではと感じています。
産業構造も大きく変化することになり、今起こっていることは第四次産業革命とも言われています。
ところで、このような変化は、商品が安くなったり生活が便利になる反面、今までの仕事がセミロボットに奪われるのではと危惧されています。つまり、ロボットにはできない「人の思考」に係わる技術系の仕事や「人の感性」に係わるサービス系の仕事は残りますが、これらの中間的な仕事はセミロボットの仕事になることを意味します。
確かに、最近は、スーパー等でもセルフレジが増えてきました。セルフレジは、レジ店員とお客さんが入れ替わっただけと見ることもできますが、センシング技術、例えば、お年寄りなどが商品を上手くリーダーに近付けなくても、確実に読み取る技術なども必要になってきます。まさにデータを収集するIoT技術が生きています。スーパー等では管理人が一人いれば足り、後は、全部ロボットが行う時代もすぐそこに来ている気がします。
このような時代になると知的財産との関係も気になります。「人の思考」に係わる技術系の仕事は、技術職や研究職になるため、特許等の知的財産権による保護が重要であることは容易に分かります。
一方、サービス系の仕事は、一見、技術職や研究職に対して対極的なイメージがあります。しかし、サービス系において、例えば、店員さんの話し方やウェイトレスさんの心遣いなどは、その人が持っているノウハウに左右されると思います。このようなノウハウは、「企業秘密」と同様の位置付けの「個人秘密」になります。この場合のノウハウは、れっきとした知的資産、つまり、「知的な財産」であり、サービス系における競争が激化した場合、自分が生きてきた中で習得したノウハウは、他人に真似されたくない自分だけの財産にしておきたいと思う人は少なくないと思います。
AI時代とは、どのような時代なのか、実際のところ、はっきりイメージできませんが、どのような時代であっても、競争原理が働くため、知的財産の重要性は増してくると思います。
企業のみならず、個人にとっても、また、どのような立場になっても、例えば「工夫力」や「好感力」などの知性に関連する財産(知的資産)の「創造」→「蓄積」→「行動」のサイクルは、より重要になってくると感じています。