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下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

知財雑感 … コスト競争の末路

2017年3月11日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:雑感

コラムカテゴリ:法律関連

 ヤマト運輸の値上げのニュースが報じられ、宅配便ドライバーの苛酷な現状が明らかになっています。
 私などは、宅配便の業務それ自体が自分にはできそうもない大変な仕事と思っていますが、さらに、これに輪をかけて取扱量が増加しているとすれば、仕事量と賃金(コスト)のバランスがとれなくなり、宅配便ドライバーにとって堪ったものではありません。
 特に、現状は、Amazon等のNET通販の増大によって、配送料の「コスト競争」が追い打ちをかけています。このような「コスト競争」は、最終的に競争がなくなるまで、言い換えれば、理論上、誰かがダウンするまで続くことになり、これが「コスト競争」の末路となります。
 ビジネス展開する場合、製造業であれ、サービス業であれ、自由経済の社会では、「コスト競争」が避けられません。業界等で統一の料金を設定できればよいですが、談合による価格カルテルと見做され、「独占禁止法」違反によって罪に問われてしまいます。
 しかし、例外があります。それは、「特許」等の知的財産権です。知的財産権は、権利者のみが独占できる権利であり、まさに、「独占を禁止する法」に反することになりますが、独占禁止法第21条により例外として明確に規定されています。したがって、権利者は、事実上、価格を自由に決めることができます。
 例えば、今、ヤマト運輸が利用者のための独自のサービスシステムを考え、そのサービスシステムについてビジネスモデル特許を取得したと仮定します。このサービスシステムは、利用者にとってもひじょうに評判が良く、配送料が少し高めであっても利用される状態が続いているとします。
 この場合、他の宅配業者も同じようなサービスシステムを導入したいと考えますが、ヤマト運輸の所有する特許により実施できません。つまり、ここには「コスト競争」という原理が働かなくなり、ヤマト運輸は、安定に経営する道が開けます。
 これは単なる空想上の話ではなく、現実的にも実現可能な話です。そして、このことは特定の業種に限ったことではありません。あらゆる業種に言えることです。特に、中小企業は、力や数などでは大企業に敵いません。同じ土俵で競争するとすれば、「知的財産権」は必須の武器になる可能性を秘めています。
 したがって、ベンチャービジネスや個人起業として、これからビジネスを始めようとしている人は、「知的財産権」を見方に付け、ビジネス展開の有力なツールとして利用してほしいと思います。

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