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下田茂

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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

地方企業を活かす知財戦略…(17)

2016年7月23日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:地方企業と知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

知的財産権の利用の仕方[Ⅱ]…ソフト的利用(ⅱ)

 今回は、前回書いた知的財産権のソフト的利用の続きです。
 以前、「ベンチャービジネスと知的財産…Ⅳ」の中で紹介した中小企業の知的財産活動のアンケート結果を再度挙げておきます。
             (※画面クリックで拡大)
 先月のコラムで紹介した、チラシの中で特許をアピールし、ビジネス上の付加価値を高める利用方法は、このアンケート結果の、②,③,④あたりに入ると思います。
 このアンケート結果からも分かるように、知的財産を利用する効果は多岐にわたり、決して限定的なものではありません。したがって、その気になれば、様々なシーンで個々の状況に応じた利用ができます。
 今回、体験に基づく利用のエピソードを二つほど紹介したいと思います。
((((((((エピソード1))))))))
 Aさんは、食品分野の職人さんでした。本業に不安もあり本業の継続を断念しました。一方、ある程度、自分の時間も持てるようになり、この機会に、以前から考えていたアイデアを特許出願しました。
 また、並行して就職活動も行っており、あるサービス分野の会社に応募した結果、面接の運びとなりました。
 そして、面接の中で趣味か近況の話になったと思いますが、特許出願の話をしたそうです。この結果、面接を行った人が、そのことを大変評価され、その場で、採用を決めてくれたそうです。特許出願の内容が、そのサービス分野に関係あるわけではありませんが、Aさんの思考性や自発性などが評価されたと思います。Aさんは、特許出願したことが就職の決め手になったとして、その帰りに私に報告してくれました。
((((((((エピソード2))))))))
 Bさんは、機械分野における中小企業の社長さんです。中小企業とはいえ、大型製品を最後まで自社で作り上げる堂々とした会社です。
 その反面、大手とも競業してしまうため、厳しい環境にあり、倒産寸前となりました。
 通常であれば、これで倒産ということに成りかねないのですが、Bさんは、自分の製品に関する特許を数件ほど所有していました。
 結局、その特許が債権者の立場となるX社に認められ、その特許を担保に資金を含めた援助を受けることができました。Bさんの会社は、現在も健在です。
 これらのエピソードは、どちらかと言うと、自ら計画的に利用したというよりも思わぬところで利用できたという、いわば、芸は身を助ける話になります。
 このことは、知的財産(権)自体に思わぬ価値が潜んでいること、つまり、様々なシーンでの様々な活用可能性が内在することを意味し、自ら積極的かつ上手に利用すれば、自身を守る強大なツールにできることになります。

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