地方企業を活かす知財戦略…(1)
「下町ロケット」における知財戦略
今、SBCテレビ(TBS系)夜9:00のTVドラマ「下町ロケット」が好評です。11月15日で前半が終了し、このときの視聴率は20%を超えたそうです。したがって、ご覧になった方も多いと思います。
(出典:TBS-HP)
このドラマの前回までの内容は、中小企業が「技術力」と「知財力」で大企業に立ち向かうドラマになっています。まさに「中小企業の知財戦略」が前面に出ています。
私もコラムで触れていますが、知財のオープン・クローズ戦略や知的創造サイクル、更には知的資産の重要性や知財の活用など、このドラマには、中小企業や地方企業にとって、「特許」等の知的財産(知的資産)が如何に重要な武器(財産)になるかについての内容が巧く脚本化されています。
ちなみに、「下町ロケット」の佃製作所(中小企業)は「クローズ戦略」をとっています。つまり、自社で取得したバルブに関する「特許」を、他社に譲渡したり実施権を付与するのではなく、自社で独占的に製造し、製品として納入する戦略です。前回の私のコラムでは、自社の保有する特許を、他社に対して「無償」で実施権を付与するトヨタ自動車(株)の「オープン戦略」について触れましたが、この戦略とは反対の戦略になります。
ところで、このドラマを観て改めて感じることは、中小企業の場合、基本的に、「知財力」が重要になるとしても、「技術力」(「創造力」+「製造力」)が前提になり、「知財力」と「技術力」は、いわば車の両輪になる点です。
このドラマは、特許が成立した後の訴訟を含めたストーリのため、弁護士さんが前面に出ていますが、特許が成立する前までは弁理士の出番になります。如何に強力で有効性の高い「特許」を成立させるか、つまり、特許が成立するまでのストーリは弁理士が担うことになります。
「技術力」は「理系」思考がベースになり、「知財力」は「法系」思考がベースになります。このため、中小企業等は「理系」思考になり、弁護士さんは「法系」思考になります。そして、この両者間を埋める弁理士は、いわば「理法系」思考になると言えます。
弁理士の仕事は比較的地味な部分があり、ドラマとしては前面に出にくい部分もありますが、「下町ロケット」は、中小企業等にとって弁理士の必要性及び重要性もひじょうに大きい部分があると感じるドラマにもなっています。