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下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

地方企業を活かす知財戦略…(3)

2015年1月10日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:地方企業と知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

 知財の本質を見据えること

 何事もそうですが、戦略を立てるには、まず、その状況を正確に把握することが必要です。知的財産(知的財産権)の場合、特にその本質(性質)を十分に理解することが重要であると思っています。知財の知識があることと本質を理解することは違います。
 今、ある人が、死角を見えるように工夫した「補助ミラー」を自分の車のバックミラーに取付けました。ところが、ある日、スーパーの駐車場で「補助ミラー」が盗まれてしまいました。その人は、「補助ミラー」の喪失に悔しい思いをするでしょう。しかし、「補助ミラー」を付けるという「アイデア」は、既にそれを見た多くの人に盗まれ、何処かに真似された補助ミラーがたくさん存在しているかもしれません。
 このように、人は、目に見えないものの価値については目に見える物の価値よりも軽視する傾向があります。
 一方、「アイデア」と「知的財産権」の関係は、「ジュース」と「容器」の関係に似ています。今、コップの中に天然の「ジュース」が入っています。しばらくの間は自由に飲めますが、そのままの状態ではいずれ腐敗し、捨てられてしまいます。しかし、適切な「容器」に封入しておけば、長期間保存でき、必要なときに飲んだり他の人に分けられますし、料理等の他の用途への応用も可能です。さらに、「容器」のデザインやネーミングを工夫すれば、中身が同じでも商品としての付加価値を高めて販売することもできます。この「容器」が「知的財産権」に相当し、適切な保護により活用価値を何倍にも高めることができます。
 このように、知的財産権は、アイデア等を守るという機能に留まらず、その価値を何倍、更には何十倍も高め得る性質、つまり、投資対象としての価値も有しています。反面、上述したように、目に見えない故にその価値が低く認識され易い性質も有しています。
 そして、このことは、知財の価値に対する認識の幅に大きな高低差が生じやすいことも意味します。つまり、よい表現ではないかもしれませんが、戦略を立てる際の武器として柔軟に計画を立てやすいことにも繋がり、知財を少しでも早くかつ的確に活用できれば、ビジネスシーンにおいて容易に優位性を確保できることになります。
 知財の本質を十分に理解することは、戦略を立てる際の重要な要素、つまり、経営戦略的見地からも重要な事項の一つとなり、知財の積極的な、創造,保護及び活用に結び付けてほしいと思います。

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