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下田茂

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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

中国の知財状況

2013年10月19日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:外国特許

コラムカテゴリ:法律関連

 中国の年間特許出願件数は、2010年に日本を抜き、2011年に米国を抜きました。この結果、2011年に世界一に躍り出ました。急激な増加になっています。しかし、急激な増加と聞くと連想するのはバブルではないでしょうか。たとえ優秀な民族であると仮定しても、そう急に発明がどんどん出来あがるとは思えません。何か裏事情があるに違いありません。
 そうです。中国の場合、共産主義を主体とするため、特許出願を増やそうとすれば、国の判断でどんどん補助金を出すことができます。中国の場合、国と自治体の補助金を合わせれば、特許出願に伴う費用は全額賄えるといわれています。そうであれば、いわば宝くじを無料で貰えることと同じようなものとなり、猫も杓子も補助金を目当てに出願に走ることは容易に想像できます。つまり、多かれ少なかれバブルが生じていることは明らかです。
 一方、知財に関する年間訴訟件数もすごいことになっています。2010年のデータによれば、日本は約500件であるのに対して、中国は約30,000件です。訴訟大国のアメリカでさえ、約2,800件です。日本の約60倍、アメリカの約11倍となっています。また、知財訴訟の多くは中国人同士の訴訟と言われており、決して日本等の外国人が相手になっているわけではありません。
 このように、中国の知財状況は、国政の違いや国民性の違いから日本とは大きく異なっています。しかし、「バブル」だから、「国民性」だから、と言って安心はできません。中国の人口は日本の概ね10倍となる大国です。バブルを除いても優秀な発明は相当数含まれています。また、補助金ゆえにと言っても、発明(創作)や特許(権利)の重要性についての意識は一気に国民の末端まで浸透する二次的効果も発生します。これらの現象をとっても、長い目でみれば国家の力になり、日本の脅威になることが考えられます。
 「知財」こそが日本の誇る最も大きな資産の一つである点を再認識し、「知財」だけは中国に負けられないという気概だけは持ち続けたいと思っています。

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