肩凝りと姿勢
肩こりは、肋骨や背骨の動きが関係していることは、先日のコラムでも書きました。肋骨や背骨を動かすと、当然ながら連動して肩甲骨が動きます。肋骨や背骨(胸椎)と肩甲骨の間の関節は、肩甲胸郭関節という関節です。ここは解剖学的には”関節”ではなく、機能的関節と言われています。よく「肩甲骨はがし」といわれますが、「肩甲骨をはがす」という言葉は、動いていない肩甲骨を動くようにすると理解をする方がわかりやすのではないかと思います。実際には肩甲骨が肋骨上で浮いていて、安定せずに動きが悪いことをよく経験します。肩甲骨の動きが悪い方は、スポーツ選手だけでなく、働き盛りの方にも多く見られます。肩甲骨の動きが悪くなると肩が凝りやすくなるだけでなく、五十肩などの肩関節の痛みを乗じる可能性もあるのです。
鎖骨の動きを変える
肩甲骨と肋骨を結びつける唯一の骨が鎖骨です。鎖骨はS字状の形をしており、胸骨(胸の前の骨)に対して上下したり回旋したりする動きがあります。鎖骨がきちんと動くことで肩甲骨が上下、前後に動いたり、回旋の動きを生じることが出来るのです。鎖骨は、首の前面の付け根にある胸鎖関節というところで、体幹と連結していますが、この部分の動きを変えることはとても大切です。胸鎖関節のわずかな制限は、肩こりや肩関節の痛み、ひいては肘関節や手関節の痛みを生じる可能性があります。鎖骨は非常に不安定な関節であり、脱臼することもあるので、肩甲骨の動きと連動してしっかり鎖骨を動かすエクササイズをしていく必要があります。
肩すくめ運動や胸を開く運動
鎖骨の動きを回旋するには、肩すくめ運動が効果的です。肩関節を耳の後ろに引き上げるように持ち上げ、5秒ほど保持したのちに力をストンと抜くように下ろします。こうした運動を10回くらい繰り返します。そうすることで、鎖骨の上下の動きを改善し僧帽筋や肩甲挙筋などの緊張を軽減することが出来ます。さらに椅子に座った状態で腕を開き、胸を開いて深く呼吸をするような運動をします。鎖骨と肩甲骨の動きを意識しながら、肋骨をしっかり動かすのです。この運動は、上半身の重心をコントロールすることにもなり、緊張を軽減する、肩こりを解消する、力が入りやすくなるなど様々な効果が期待出来ます。少しずつ動画や写真もアップしていこうと思いますが、まずはこうした運動を日常生活の中で取り入れてみてください。