高齢者施設のひな祭り行事|芥川龍之介 「雛」の朗読会
昨日は、季節外れの雪に満開の桜もきっとびっくりしたことでしょう!
桜の季節になると、必ず朗読するひとつの作品があります。
それは、大橋鎭子(おおはし・しずこ)さんの 「花ことば」 というエッセイです。
大橋鎭子さんは、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者で、
4月から、大橋さんの生涯をモチーフにしたドラマ 『とと姉ちゃん』 が、
NHKの連続テレビ小説でスタートしています。
私のラジオの番組でも、大橋鎭子さんのエッセイ 「すてきなあなたに」 を紹介していますが
今日は、私の大好きなその一遍をご紹介したいと思います。
『花ことば』
四月、さくらの花の季節です。
三月、九州に咲きはじめた桜は、四月いっぱい北へ北へと進んで、
四月の末には東北から北海道へと、海をわたります。
その桜の花の咲くころはまた、移動性の高気圧と低気圧が代わる代わるやってきて、
陽気の変わりやすいころでもあります。
昨日はポカポカと暖かかったのに、今日は一転、冷たい風に、しまいかけた厚い上衣をまた・・・
空気もどんよりとよどんで、なにかするにも物憂く、咲きかけた桜もかすんでいます。
そんなとき、ふっと口にのぼってくることばがあります。
「花ぐもり・・・・・」
なにかしんどいお天気も、こうつぶやいてみると、そこに満開の桜のイメージが重なり、
くもった空も、心なしかのどかに感じられます。
ほかにも、桜の花が咲きそうな気配をいう 「花もよい」
咲き乱れる桜の花の白さのために、夜でもあたりが明るく見えることをいう 「花あかり」
桜が咲くころに突然にくる寒さをいった 「花冷え」 など、大好きな 「花ことば」 です。
満開の桜を、遠見のかすみに見立てた 「花がすみ」
川面に散った桜の花びらが、連なって流れていくのを 「花いかだ」
花を散らせる強い風も 「花あらし」 といえば許せる気がします。
そういえば、何十年も昔の幼いころに、友だちと 「花いちもんめ」 で遊びました。
いつごろから言われていることばでしょうか。
むかしの人は、まわりを見まわして、ゆたかな自然を暮らしにとり入れ
頭が痛くなるようなどんより曇った日にも、急な寒さの朝にも、美しさを見出しながら過ごしてきました。
いまその知恵を、しみじみと感じています。
花ぐもり 掃きだすあひだ 待ちにけり 久保田万太郎の句です。
暮らしの手帖社 発行 大橋鎭子著 「すてきなあなたに」 より
大橋鎭子さんとの出会い
私が大橋さんのエッセイに出会ったのは、今から30年近く前のことです。
当時、初めて担当したラジオ番組の生放送で、オープニングの1分間の
フリートークを考える時に、季節の話題や日常の出来事への目のむけ方などを
この 「すてきなあなたに」 から、たくさん学ばせて頂きました。
大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが、私は大好きで
これまで、朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。
大橋さんが亡くなられて、3年が経ちますが、
これからも折に触れて大橋さんの作品を紹介していきたいと思っています。
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