「言霊の幸わう国」 大和言葉に見る「言霊信仰」

長野淳子

長野淳子

テーマ:大和言葉

活字を見ると眠くなる私が、久しぶりに一気読みした 「本」
高橋こうじ著 「日本の大和言葉を美しく話す」 ~こころが通じる和の表現~ から
今日もすてきなフレーズをご紹介しましょう。

「言霊の幸(さき)わう国」

昔の人々は、日本を 「言霊の幸(さき)わう国」 と呼んでいました。

万葉集の柿本人麻呂の歌に
「しきしまの大和の国は 言霊の幸(さき)わう国ぞ ま幸(さき)くありこそ」 という歌があります。

これは
「この日本の国は、言葉が持つ力によって幸せになっている国です。これからも平安でありますように」
という意味です。

古代の人々は、言葉に霊力が宿ると考える 「言霊信仰」 を持っていて、
美しい心から生まれる正しい言葉は、その言葉通りの良い結果を実現し、
逆に、乱れた心から生まれる粗暴な言葉は災いをもたらす、と信じていました。

「言霊信仰」

現代にも、この 「言霊信仰」 のなごりはあって、
例えば結婚披露宴などのお祝いの席では 「別れる」 「離れる」 「切れる」 「割れる」 「壊れる」 などを
縁起の悪い言葉と捉え 「忌み言葉」 として使いません。
宴の終わりは 「発展する」 イメージに通じる 「おひらき」 という言葉を使い、
文字も 「御披良喜」 などと記します。

これは、私が日頃から提唱している
「ポジティブシンキング」 「ポジティブトーキング」 に繋がっています。

「前向きな言葉」 は 「前向きな考え」 から 「前向きな行動」 と導き 、ひいては 「良い結果」 をもたらす。
つまり 「日頃から前向きで、美しく、優しい言葉を使っていると、物事がいい方向に向かっていく」 
ということです。

現代は、大人げない 「議会でのやじ」 や、ネット上での 「誹謗中傷」
更に 「ヘイトスピーチ」 など、聞くに堪えない 「言葉」 の数々が蔓延していますが、
できうるかぎり日頃から 「美しい言葉」 を使って 「幸わう国」 にしたいものですね!

大和言葉2
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