年金という用語は公的年金保険だけに使って欲しい
次に2つめ、厚生年金部分の遺族保障については、”妻の生活費のベース”の
イメージを持っていただくのがわかりやすいと思います。
厚生年金ですので、勤めた期間や収入の大きさによって金額は変わってきます。
ここで役に立つのがねんきん定期便を読み取る力です。
厚生年金部分の遺族保障の額は、将来受け取る厚生年金の4分の3です。
この”将来受け取る厚生年金”を「ねんきん定期便」で確認することができます。
ただし、勤め始めて年数が短い場合等によっては、非常に少ない額になってしまいます
ので、厚生年金の期間が25年(300月)あったものとして算出します。
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■現在、厚生年金で
厚生年金と国民年金をあわせた期間が25年未満の方々
「ねんきん定期便」の「これまでの加入実績に応じた年金額」に記載されている
2つの月数を合計してください。
以前のコラム
「「ねんきん定期便」を見てみよう!【13】将来受け取る厚生年金を試算してみる!」
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3534/
で解説しました例を取り上げると、
「これまでの加入実績に応じた年金額」は、合計144月です。
①の約31.6万円を144で割り、300を掛けると25年(300月)分として算出できます。
このケースでは約65.8万円ですから、この金額の4分の3は約49.4万円。
この金額に+5%すると、おおよそ近しい遺族厚生年金となります。
ですので、この例の場合は約52万円、月あたり約4.3万円です。
子どもがいれば、これに加えて前回解説しました国民年金部分の遺族保障の金額を
受け取ることになります。
■現在、国民年金で
厚生年金と国民年金をあわせた期間が25年未満の方々
厚生年金部分の遺族保障を受け取る権利がありません。
特殊なケースは、ご興味があれば次のブログ記事もご参照ください。
”お金にもセカンドオピニオンを”の生まれたエピソード
http://kyogokudemachifp.blog14.fc2.com/blog-entry-672.html
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■現在、厚生年金で、
厚生年金と国民年金をあわせた期間が25年以上ある方々
単純に将来受け取る厚生年金部分の年金の4分の3です。
■現在、国民年金で、
厚生年金と国民年金をあわせた期間が25年以上ある方々
同じく、単純に将来受け取る厚生年金部分の年金の4分の3です。
いずれも気をつけてもらいたいのは、厚生年金の期間が少ないケースです。
例えば、厚生年金は5年だとしましょう。
このケースでは5年の厚生年金期間を25年(300月)とはみなしてくれません。
とても少ない遺族年金となりますので、注意が必要です。
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この厚生年金部分の遺族保障の金額を
妻は自分が生きている限り一生涯受け取ることができます。
ただし将来、妻が厚生年金部分の年金を受け取る場合には調整されますので
注意が必要です。また、再婚したら受け取ることができなくなりますし、
厚生年金での年収が850万を超えるというレアケースでも受け取ることは
できなくなります。
なお、この厚生年金部分の遺族保障の仕組み、
子どものいない30歳未満の妻には、一生涯ではなく5年分のみです。
2006(H18)年まではこのケースでも一生涯だったのですが、
20代で子どもがいなければ、生活を立て直すための期間(5年)は受け取って、
あとは自分で強く生きていきなさいというイメージでしょうか。
また、厚生年金かつ子どもがいるケース、
子どもがいなくても厚生年金で夫が亡くなったとき妻が40歳を超えているケースでは
「中高齢寡婦加算(ちゅうこうれい かふかさん)」という上乗せの保障もあります。
国民年金部分の遺族保障の受け取りが終わったときから始まり、
妻が自分の”将来の年金”を受け取るとき(65歳まで)年間約59万円の
上乗せがあるという仕組みです。
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前回の国民年金部分の遺族保障の解説でも取り上げましたが、
夫ではなく、妻が亡くなってしまったときの公的な保障はほぼありません。
よく言われるのはこうです。
妻「私が死んでも夫に収入があるので金銭的には何も困りません」
はたしてそうでしょうか。
確かに夫には収入があります。
でも、子どもが小さいうちにそんなことが起きてしまえば、
精神的にも物理的な時間的にも、これまでと同じように働けないかもしれません。
最近は折半で住宅ローンを組んでおられたり、
共働きで妻の収入がそれなりに多かったりするケースもあります。
人生観・価値観はそれぞれです。それぞれの夫婦によって異なりますし、
夫・妻それぞれ考え方が違うのもおかしなことではありません。
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次回は2つの遺族年金に関して思うところを書きたいと思います。
<注記>
年金に関する具体的な金額は2011年度のものを取り上げています。
物価の変動等に応じて年金額は調整されますので、ご注意ください。
なお、調整は余程のことがない限りコンマ数%の範囲ですので、
現在のところ突然に何割も変わるようなことは考えられません。
また、コラムでは代表的な例しか取り上げることができません。
気になることや確認したいことは、所轄の年金事務所へお問い合わせください。
記録や給付に関する正確な情報は、間違いなく年金事務所で確認できます。
よりよい受け取り方や付随する情報等を希望されるようでしたら、
お近くのFPや社会保険労務士さんをお尋ねください。
その際には、私も含め相談に関しては有料が多いと思いますので
ご留意のうえ、ご活用くださいませ。
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ご意見・お問い合わせはこちらから。
https://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/inquiry/personal/
日々をつづった日報はブログにて。【2009年9月より毎日更新中】
http://kyogokudemachifp.blog14.fc2.com/
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京極・出町FP相談 ~お金にもセカンドオピニオンを~
http://money-2nd.com