「ねんきん定期便」を活用しよう!【6】保険商品が不要だと言いたいわけではありません
前回「【10】50歳未満① これまでの加入実績に応じた年金額」
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3449/
の続きです。
50歳未満の方々の受け取る「ねんきん定期便」表紙に記載されている
「2 これまでの加入実績に応じた年金額」には、実際に将来受け取る
年金額とは異なる、実際にはあり得ない額が示されてしまっていると
書きました。
その理由について、今回は国民年金を例に挙げて説明していきます。
元に戻って、何が”あり得ない”のか。
将来受け取る国民年金の基本は、20歳から60歳までの40年間のうち
保険料を払ったり免除したりした期間が25年以上あることで、
受け取るための権利を得る、ということなのです。
もう一度、前回の例を見てみましょう。
これは30代前半の例としていました。
30代前半ですからギリギリ30代前半の私、34歳(!)を例に説明しましょう。
34歳ということは、20歳から今まで何年でしょうか。
14年です。
20歳になった学生のころから欠かさず国民年金に加入し、
大学を卒業してすぐに就職し、34歳の今まで転職もなく厚生年金に加入して
いたとしましょう。
それでも14年です。
将来の年金を受け取るための権利に必要な期間は25年です。
25年以上加入しなければ、1円も受け取れないのが今の年金制度です。
この例で言えば、11年も足りません。
11年足りない情報で、とりあえず計算されているのが「ねんきん定期便」表紙に
ある年金額なのです。
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少し踏み込んで、国民年金を説明します。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間丸々納めてはじめて、
65歳から満額788,900円(2011年度)を受け取ることができます。
月にして約65,700円です。
繰り返し書きますが、40年間=480月、漏れなく納めて満額です。
受け取るための権利を得るのは25年と書きました。
では、25年間=300月だけ納めた場合はどうなるのでしょうか。
単純明快な計算式です。
788,900円 × 25年 / 40年 ≒ 493,100円
月にして約41,100円です。
誤った情報をお持ちの方々が時々おられます。
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25年払ったし、将来の年金を受け取る権利を手に入れた。
あとは払うのもったいないし、もういいよね。
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確かに、受け取る権利は発生しました。
しかしながら、額は期間に応じたものでしかありません。
国民年金でいえば、個人的にはできるだけ満額になるように
納めていただきたいです。
受け取る年金は支払った保険料だけでなく、国の負担(税金)が
多く含まれているからです。その割合は現時点で”半分”です。
数年前まで3分の1でしたが半分に引き上げられました。
自分の支払った額と同じ額が上乗せされて受け取れるような
金融商品は世の中にはなかなかありません。
しかも、受け取る期間は一生涯です。
【9】保険料は2017年まで上がり続ける!
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3428/
にも書きましたが、85歳・90歳・95歳・100歳・それ以上、
これだけ長生きしても、受け取り続けることができます。
年金制度がたいせつなことは間違いありません。
ただし、だからこそ今の年金制度を維持していくことの難しさに対して
理解も必要です。
またまた話が脱線してしまいました。
次回も「ねんきん定期便」国民年金部分の解説です。
<注記>
年金にはさまざまなパターンが存在します。
コラムでは代表的な例しか取り上げることができません。
気になることや確認したいことは、所轄の年金事務所へお問い合わせください。
記録に関する正確な情報は、間違いなく年金事務所で確認できます。
よりよい受け取り方や付随する情報等を希望されるようでしたら、
お近くのFPや社会保険労務士さんをお尋ねください。
その際には、私も含め相談に関しては有料が多いと思いますので
ご留意のうえ、ご活用くださいませ。
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