相続に関する手続き~私の経験した一連の流れ(4)不動産の相続登記~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:相続

引き続き,私の親族の死亡に関する私が経験した手続きを紹介します。

私の親族は,多少の不動産を所有していました。

ここまでのコラムで何回かご紹介していますように,親族は公正証書遺言を作成しており,不動産についても誰に相続させるのかは決定されていました。

よって,遺言執行者である私は,その遺言に従って,登記をするだけです。

不動産登記をするのは,専門家である司法書士さんに依頼するのが一般的(登記申請書類を厳しくチェックされる法務局に受付してもらうのは大変です)が,司法書士さんに依頼しなくても,自分で手続きをすることは可能です(弁護士でない方でも可能)。

そこで今回は自分で登記申請してみることとしました。

ただ,法務局が受付してくれるような形での書類作成については,よく知っておられる方のアドバイスはいただきました。

そして,できた書類(私が相続する分は,私の委任状は要りません。一方,私以外の相続人が相続する分もあるので,その方からは委任状をいただきました。この委任状は,認印で大丈夫で,印鑑証明書も要りません。)と相続を証する書類の原本(今回の場合は,公正証書遺言と死亡者と相続人との関係を示す戸籍一式)と写し(原本類は還付してくれるので,法務局に保存していただくための写しを添付します)を法務局に受付してもらい,1週間後にできるといわれて,出来上がるのを待ちました。

若干の書類の不備があり,その訂正のため一度行きましたが,予定とおり,提出後,1週間で,登記は完了し,登記識別情報通知をいただくことができました。

なお,この登記識別情報通知につき,少しご紹介すると,2004年以降は,それ以前のように「権利証(書)」は残らず,それに代わるものが登記識別情報通知です。

ですので,昔の某新喜劇のように,「借金のカタに権利書をよこせ」というような芝居は,今の時代は通用しません(なお,以前に作成された権利証はそのまま有効ですので,大切に保管ください)。

具体的に登記識別情報につき,どんなものか説明すると,少し厚めの紙(大きさは前はA4サイズでしたが,今回のものは,A4サイズの上と下を少しカットしたような,少し小さめのサイズに変わっていました)に登記をした不動産の表示がしてあり,所有者が記載されています。

そして,いちばんの特徴は,紙の下の部分にシールが貼られていいて,そのシールの下に「登記識別情報」(暗証番号のようなもので,英数字で12桁のものということです)が隠されています。

次に登記をする際,この「登記識別情報」があればねスムーズに登記が進むというもので,逆にいうと,この「情報」を別の第三者に知られてしまうと,悪用される危険があります。

よって,このシールは,次に登記が必要になるまで剥がさず(再度貼ることができないようになっています),見えない形で保管しておくことが大切です。

なお,万一,この登記識別情報通知を紛失してしまい,12桁の英数字がわからなくても,権利者本人であることを証明することができれば,登記は可能ですので,その点は,ご安心ください。

以上が,私が経験した不動産の登記に関するご報告です。


なお,ついでにご紹介すると,法務局では,「法定相続情報証明制度」がスタートしており,法務局で,法定相続人を確認してもらえば,法務局が確認した書類を金融機関などに持参するだけで,金融機関での相続手続きができるようになっているようです。

詳しくは,法務局や各金融機関にお尋ねいただければと思います。

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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