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笠中晴司

交通事故のトラブルを解決に導く法律のプロ

笠中晴司(かさなかせいじ) / 弁護士

丹波橋法律事務所

コラム

相続に関する手続き~私の経験した一連の流れ(3)銀行(信用金庫)での手続き~

2017年9月8日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

先日からの続きで,私の親族の相続に関し,私の経験と一般知識をご紹介します。

私の親族は,某信用金庫に預金(普通預金と定期預金)があることは判明しており,その取引店で,私は公正証書遺言に基づく遺言執行者として手続きをしました。

私の行った手続きの紹介の前に一般知識としての,原則論を説明します。

まず,預金について「預金者の死亡」という事態が発生した場合の原則は,「ご本人が死亡した後は,預金は凍結される」ということです。

この「ご本人が死亡した後」というのは,あくまで,銀行などの金融機関が把握した時点です。

また,「凍結」とは引き出しだけでなく,口座振替の支払もできない(口座振替による家賃や公共料金等の支払もできません),さらに,逆に振込入金等による入金もできない(例えば,年金も振込できない),つまり,「預金口座を一切動かすことができない」ということです。

そして,この「凍結」という手続きは,金融機関の判断でとられる措置であり,相続人たちの意向は関係ありません。

そして,そのような措置を金融機関がとるのは,「預金契約者が,死亡された以上,誰が権利者であるか,金融機関としてはわからないので,真の権利者(相続人等)が判明するまで,預金の引き出しをさせない」という考えからです。

ですので,逆にいうと,真の権利者がハッキリしていて,その資金使途も納得できるようなもの(例えば,葬儀費用の支払)であれば,相続の手続きをする前に,金融機関が預金の引き出しに応じてくれる場合もあるようです(但し,そこも,各金融機関の判断ですので,間違いなくできるということはいえません)。


次に,今度は,相続預金の払い戻しについての原則です。

相続預金の払い戻しは,各金融機関制定の相続預金専用払戻請求書に,相続人全員の署名・押印(実印)をし,相続人全員の印鑑証明書を添付して,行います。

そして,それが,相続人全員分の署名・押印であるということを証するために,死亡された方の出生から死亡までの戸籍,そして,各相続人の戸籍が求められます(原本を持参すれば,コピーでの対応はだいたいしてくれると思います)。

ただ,金融機関によっては,少額(50~100万円程度)であれば,相続人全員の署名・押印を求めず,代表者だけの署名・押印で相続預金の払い戻しに応じてくれるところもあるようです(そのあたりは,取引のある金融機関にお尋ねください)。


一方,私の場合は,公正証書遺言が作成されており,私が遺言執行者に指名されていました。

ですので,本人が死亡したことを証する戸籍と公正証書遺言を持参し,そして,私の印鑑証明書を添付して,私だけが署名・押印した払戻請求書を作成するだけて済みました。


ただ,1点注意したいのは,今回,私が手続きをした某信金では,原則として,相続に関する書類を一度,支店から本部に送付し,本部で書類をチェックしてから,手続きをするということでした。

ですので,当日いきなり,取引のあった支店に行って,当日,払戻を受けられるかどうかは,支店の対応次第とですが,原則として難しいと思っていただいたほうがよいようです。

つまり,余裕をもって,2回行くことを前提に,払い戻し手続きはしていただきたいということです。


以上,ご参考になりましたら,幸いです。

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