交通事故解決までの道のり~物損編(5)~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:交通事故 実際の例など

☆任意保険会社との交渉で進歩がない場合の5つの対処方法

1 弁護士に委任

  弁護士が任意保険会社との交渉,裁判手続きをすべて代行していくことになりますので,基本的には,弁護士に任せることになります。
 以下に紹介する手続きについても,弁護士に委任して行うことができ,その場合は,裁判における証人尋問の場合を除いては,ご自身が手続きのため,手続きが行われる場所に行く必要はありません。

  ですので,弁護士費用特約が自身の契約する任意保険にあり,弁護士費用の心配をしなくて済む場合は,「弁護士に委任したほうが楽」という考え方は可能かと思います。

  このうち,代表的な手続きである交渉から訴訟に至るまでの具体的な流れについては,弁護士に委任した場合の流れを,次回以降説明します。

2 交通事故紛争処理センターでの和解あっ旋手続き

  相手に任意保険がある場合,物損でも,交通事故紛争処理センターを利用でき,この申立てをされた相手方保険会社は,少なくとも,この手続きに参加する義務があります(あるのは「参加する義務」ですので,「和解に応じる義務」はありません)。

  交通事故に精通した中立の弁護士2名が担当して,和解に向けて,あっ旋してくれますので,妥当な判断がされる可能性が高いですが,残念ながら,場所は,近畿では大阪の北浜1か所しかありません。

  また手続きの回数は,物損の場合,2,3回程度で終了するケースが多いようです。


3 日弁連交通事故相談センターによる示談あっ旋手続き

  手続き的には,2の交通事故紛争処理センターと同様の手続きですが,担当の弁護士は1名となります。

  このあっ旋を受ける前提として,各弁護士会等で実施されている法律相談(但し,交通事故の場合は,原則無料で相談可能)を受ける必要があります。

  ただ,各弁護士会で実施されていますので,京都でも,京都弁護士会館(丸太町富小路上る,京都地方裁判所の東南角)で行うことができます。


4 簡易裁判所での調停手続き

  各地にある簡易裁判所でも,訴訟ではなく,「調停」という手続きで,相手と話し合いをすることができます。

  これは,相手に任意保険がついてなくても,申立てできます。

  ただ,問題は,調停は,相手がその手続きに応じないと,手続き自体開始しない場合もあります。

  また,訴訟と異なり,話し合いですので,話し合いで解決できない場合は,再度訴訟などに移行して決着をつけないといけない場合があります。


5 裁判所での訴訟手続き

  金額により,簡易裁判所の場合(請求金額が140万円まで)と地方裁判所の場合(請求金額が140万円を超える場合や事案がややこしく簡易裁判所での審理が相当でない場合)とがあれますが,弁護士に委任しなくても,訴訟はすることは可能です。

  最近は,特に簡易裁判所の場合,訴訟の最初に提出する訴状などの用紙をカーボン式の補充形式にしたり,金額が60万円以下の場合に可能な少額訴訟(より簡易な手続きで結論を得る形式で,原則的に1回の審理で終了し,判決に至る手続き)という手続きを追加したりして,弁護士以外の一般の当事者の方でも利用しやすくしています。

  ただ,過失割合が激しく争われている場合や法律的な問題がある場合,さらに,裁判が何回もされる場合の出頭の煩雑さを考えると,弁護士に委任して訴訟をするというのが,現状でも一般的かと思います。

                                              以上

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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