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拾井央雄(ひろいおうゆう) / 弁護士

京都北山特許法律事務所

コラム

【宗教法人の管理・運営(6)】 -被包括関係-

2015年6月19日 公開 / 2021年6月8日更新

テーマ:寺院の管理・運営

コラムカテゴリ:法律関連

(包括宗教団体)
第4条 この法人の包括宗教団体は、宗教法人「○○宗」とする。
宗教法人
*規則記載事項(法12条1項4号)であり、登記事項(法52条2項4号)である。

《包括宗教団体》

包括宗教団体の規則は、規則変更・財産処分・役員人事等について被包括宗教団体を拘束する規定を置き、その上で被包括関係を設定する場合は包括宗教団体の承認を要するとの規定を置いているのが一般的である。

したがって、被包括関係を設定しようとする宗教団体は、包括宗教団体の拘束規定の効力が当該宗教団体に及ぶ旨の規定を規則に設けた上で、包括宗教団体の承認を受けることになる。
このような規則により、被包括宗教団体は包括宗教団体に拘束される(法12条1項12号)。

例えば包括宗教団体の規則に「被包括宗教団体の規則変更には包括宗教団体の承認が必要」と規定されていれば、包括宗教団体の承認がなければ規則変更をすることができない。

《被包括関係の設定手続き》

1 宗教法人内で規則変更手続き
2 変更案を示して檀信徒等に公告
3 包括宗教団体の承認を得る
4 所轄庁による規則変更の認証

具体例(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f7147/p26190.html

《被包括関係の廃止手続き》

1 宗教法人内で規則の変更手続き
2 変更案を示して檀信徒等に公告
3 包括宗教団体に廃止することを通知
4 公告・通知から2か月以上後に所轄庁の認証
5 包括宗教団体が手続き違反を発見したら、所轄庁・文部科学大臣に通知できる。

具体例(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f7147/p26198.html

包括宗教団体の規則に「被包括宗教団体の規則変更には包括宗教団体の承認が必要」と規定されていても、被包括関係を廃止しようとする規則変更については、これに拘束されることはなく(法26条1項)、包括宗教団体の承認は不要である。

また、包括宗教団体は、被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、又はこれを企てたことを理由として、被包括関係の廃止の通知から2年間が経過するまで、役員の解任・権限の制限など不利益な取扱いを禁止され、これに違反する行為は無効とされる(法78条1項2項)。
→包括宗教団体による「不利益な取扱い」があった場合、それが「被包括関係の廃止を防ぐことを目的として」「これを企てたことを理由として」したものかが争われる。

《Q&A》

質問

被包括宗教法人Xは、包括宗教団体に対して被包括関係を廃止する旨の通知をしたが、規則変更をした役員の選任手続に規則違反があった。
このような場合でも、包括宗教団体は代表役員を罷免できないのか。

回答

規則違反の選任手続を改めるよう指導したのに改めないなど懲戒事由が存在すれば、法78条で無効とされないと考えられる。
例えば、役員の選任に包括宗教団体 の承認が必要であるため被包括関係の廃止が困難になる場合があるとしても、そのことで規則に定められた包括宗教団体の承認が不要になることはない。

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