令和 vs 昭和・平成 マネジメント比較
「中間管理職が一番きつい」は本当にそうか?
「部長や役員よりも、課長・係長クラスの離職が多い」組織拡大期にある企業の人事担当者から、こういった相談をよく受けます。経営者は「なぜ優秀な中堅層が辞めるのか」と首をかしげますが、現場に入ってみると答えはすぐに見えてきます。中間管理職は、組織の中で最も「消耗しやすい立場」に置かれているのです。これを「中間管理職燃え尽き症候群」と呼び、管理職の半数が経験しているとも言われます。
中間管理職が消耗する構造
組織が拡大すると、中間管理職に求められる役割は急激に膨らみます。上司からは「目標達成」「部下育成」「コンプライアンス対応」「報告・連絡・相談の徹底」を求められ、部下からは「キャリア相談」「メンタルケア」「評価への不満対応」「業務上の判断」を求められます。さらに、プレイングマネージャーとして自分自身の業務目標まで持つケースが多く、これらをすべて一人でこなさなければならない状況が生まれます。
経営層からのプレッシャー(目標・変革・指示)
↓
【中間管理職】← 部下からの要求(相談・フォロー・評価)
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自分自身の業務目標
「上からも下からも求められ、自分の仕事もある」という三重の負荷が、中間管理職を消耗させていきます。
組織拡大期に特に消耗する背景
組織拡大期には、この消耗が一層加速します。理由は3つあります。
① 部下の数が増える
組織が大きくなるにつれ、一人の管理職が見るべき部下の数が増えます。適切なマネジメントスパン(一人の管理職が直接管理できる人数)は一般に5〜8名とされていますが、拡大期の組織ではこれが10名・15名と膨らむことも珍しくありません。
人数が増えるほど、一人ひとりへの目配りは薄くなり、それが部下の不満につながり、さらなるフォロー負荷を生むという悪循環が生まれます。
② 経営と現場の「ギャップ」が広がる
組織が大きくなると、経営者は現場の実態を直接把握しにくくなります。その結果、「経営が言っていること」と「現場で起きていること」の間に乖離が生まれ、その橋渡し役を一手に担うのが中間管理職です。どれだけ丁寧に説明しても「なぜそんなことをしなければならないのか」という部下の反発を受け、経営には「伝わっていない」と叱られる。この板挟み状態が慢性化すると、管理職は「どちらにも本音を言えない」状態に陥ります。
③ 「育てられた経験」がない
多くの中間管理職は、自分自身がマネジメントを体系的に学ぶ機会のないまま、「優秀なプレイヤー」として昇格してきています。プレイヤーとして成果を出す力と、人を動かし組織を動かす力は、まったく別のスキルです。しかし、その違いを丁寧に教えてもらうことなく「管理職」という役割だけを与えられた結果、自分なりに試行錯誤しながら消耗していきます。
中間管理職を救う、3つの構造改革
では、この「消耗の連鎖」を断ち切るには何が必要でしょうか。個人の頑張りで解決しようとするのは間違いです。必要なのは、「構造」を変えることです。
① マネジメントスパンの適正化
一人の管理職が見る部下の数を適切に設計し直すことが第一です。現状のスパンを可視化し、必要であればマネジメントレイヤーを追加する。「管理職を増やすとコストがかかる」という発想を改め、「消耗した管理職が生み出す損失」を正しく計上することが重要です。
② 役割と権限の明確化
中間管理職が「何を決めていいか」を明確に定義することが必要です。権限が曖昧なままでは、管理職は判断のたびに「これは自分が決めていいのか」と迷い、消耗します。また「決めたことを実行できる権限」が伴っていなければ、部下からの信頼も得られません。
③ マネジメントスキルの体系的な習得支援
「優秀なプレイヤーを管理職に昇格させる」だけでは不十分です。1on1の進め方、フィードバックの技術、チームビルディング、コーチング的な関わり方──これらを体系的に学ぶ機会を、組織として提供することが求められます。管理職を「育てる側に置く」だけでなく、「管理職自身も育てられる」仕組みを整える。これが、組織拡大期を乗り越えるための本質的な投資です。
中間管理職を「消耗させる組織」か「活かす組織」か
組織が大きくなるとき、その成否の多くは中間管理職の質と状態にかかっています。彼ら・彼女らを板挟みのまま消耗させ続けるか、適切な仕組みと支援の中で活躍させるか。この選択が、組織の持続的な成長を左右します。中間管理職を「コスト」として見るのではなく、「組織の要」として投資する視点へのシフト。それが、拡大期の組織に最も必要なリーダーシップのあり方と言えます。
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